第37回 日本原子力学会 熱流動部会 部会賞(奨励賞)を受賞

熱水力安全研究グループの孫 昊旻 研究員は、「エアロゾル除去に対するスクラビングに関する実験的、解析的研究」について優れた業績が認められ、日本原子力学会熱流動部会より、第37回熱流動部会部会賞(奨励賞)を受賞しました。

受賞概要

軽水炉の重大事故時、環境へのエアロゾル(気中の微粒子)状放射性物質の放出抑制に繋がる有効な除染の手段として、①気泡内から気泡界面にエアロゾルを移行させて除去するプールスクラビングと、②格納容器スプレイ液滴にエアロゾルを捕捉させて除去するスプレイスクラビングが挙げられます。安全リスク評価上これらのエアロゾル除去(除染)の評価手法の確立が重要です。

受賞者は、①プールスクラビングにおいて、除染効果に対する影響因子に関する理解が不十分である課題に対して、除染効果が粒子数濃度に依存することを実験から見出しました。この依存性に対して、考案した解析モデルを用いて現象のメカニズムを解明することに成功しました。さらに、②スプレイスクラビングにおいて、実機条件における現行評価モデルの有効性評価が不十分である課題に対して、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)との共同研究の基、同所の大型格納容器模擬試験装置を用いて、スプレイが容器のほぼ全空間をカバーするPWR実機相当条件下のスプレイスクラビング実験を実施し、データを取得しました。この実験結果を用いて、現行モデルの予測性能を定量化するとともに、モデルの課題と改良の方向性を示しました。これらの研究成果は、エアロゾル除去の評価手法の改良に貢献することが期待され、本賞をいただくことになりました。

拝受した賞状と盾