第24回「環境放射能」研究会「研究会奨励賞」を受賞

保障措置分析化学研究グループの富田涼平職員は、第24回「環境放射能」研究会2023.03.06~08)において発表した「多孔質シリカを母材とする模擬ウラン粒子の作成とLG-SIMSによる同位体比測定」が審査の結果優秀であると認められ、研究会奨励賞を受賞しました。

受賞した研究の概要

保障措置環境試料に含まれるウラン粒子の同位体比を大型二次イオン質量分析装置(LG-SIMS) で測定するには、同位体比が保証されたウラン標準粒子が必要である。一般的にウラン標準粒子はウラン溶液を霧状に噴霧した後、溶液を乾燥させる方法で作成されるが、霧状の核燃料物質が実験室内に漏れ出る危険性や、異なる組成の粒子を作成する際に、試料が相互汚染しないように注意する必要がある。そこで、我々は多孔質シリカ粒子に同位体比標準溶液を浸透させる含侵法を考案し、簡便な方法で様々な種類の同位体比を持つ模擬粒子の作成を可能にした。

本研究では、標準粒子に近い性能を持つ模擬粒子を目標とし、粒子1 個あたり数pgのウランを含む模擬粒子の作成を試みた。得られた模擬粒子の同位体比をLG-SIMSによって測定し、模擬粒子の同位体組成の正確さや精度 、母材が測定結果へ与える影響を評価した。

作成した模擬粒子はウラン標準粒子と同等の精度で測定可能であったが、シリカを主成分とする模擬粒子は帯電しやすいことや模擬粒子内のウランは化学形が硝酸塩と推測されるといった違いがあり、これらが同位体差別効果を通してLG-SIMS 法の測定結果に影響する可能性が示された。

拝受した賞状