JPVT Journal Editors's Choice Literature Awardを受賞

2022年7月、安全研究センターの高見澤 悠 研究副主幹と西山 裕孝 センター長は、米国機械学会(ASME)の論文誌 Journal of Pressure Vessel Technology(JPVT)に掲載された、日本のPWR監視試験データを用いたベイズ統計による照射脆化評価に関する論文"Bayesian Analysis of Japanese Pressurized Water Reactor Surveillance Data for Irradiation Embrittlement Prediction"が顕著な業績であると認められ、「JPVT Journal Editors's Choice Literature Award」をASMEの圧力容器と配管ディビジョンから贈られ、ASME Pressure Vessels & Piping Conference (PVP 2022)にて表彰されました。

この賞は1年間にJPVTに掲載された論文から、応用、新規設計または調査を重視した優れた技術論文の1件に贈られるものです。

受賞した論文の概要

安全上最も重要な原子炉圧力容器の構造健全性評価において、中性子照射脆化の評価手法の信頼性向上は極めて重要です。受賞者は、原子炉圧力容器鋼の照射脆化という材料研究に機械学習を用いたベイズ統計手法を初めて適用し、国内PWRの実機監視試験データを緻密に分析することにより、従来手法では確認できなかった因子(Si含有量)が脆化に寄与することを明らかにしました。

また、ベイズ統計の特徴を活かして実測データの数やばらつきを反映した不確かさを伴った脆化評価を行い、現在国内で用いられている日本電気協会の電気技術規程「原子炉構造材の監視試験方法(JEAC4201-2007[2013年追補版])」に基づく脆化評価において、マージンが概ね保守的に設定されていることも明らかにしました。