第52回 日本原子力学会 論文賞を受賞

燃料安全研究グループの宇田川豊研究副主幹及び天谷政樹グループリーダーは、「燃料挙動解析コードの開発」について顕著な業績が認められ、日本原子力学会より第52回日本原子力学会論文賞を受賞しました。

受賞論文の概要

原子炉内の中性子照射環境下に置かれた核燃料の挙動を支配する条件やメカニズムを同定し燃料設計等に適切に反映していく上で、照射中の燃料挙動を精度よく解析できるコード(燃料挙動解析コード)は必須の技術基盤です。FEMAXIは、原子力機構が開発し無償公開してきた燃料挙動解析コードで、国内外で広く利用されてきましたが、従来は、解析コードの信頼性を確認及び担保する観点で肝要な、体系的な検証を十分に伴っていない点が長年にわたり指摘されてきました。

本研究では、上記課題の解決を目標としてFEMAXIの最新バージョンFEMAXI-8を開発しました。前バージョンから計算の安定性及び効率性を、また新たな物理モデルを導入することで解析精度を、それぞれ大きく向上させています。開発の最終段階では、海外の研究用原子炉で取得された燃料照射試験データを分析、集約し新たに構築したデータベースを比較対象として体系的な検証解析を実施し、燃料温度やFPガス放出率等主要な燃料挙動を妥当な精度で予測可能であることを示しました。完成したFEMAXI-8は2019年3月に公開し、研究機関、原子力規制庁、大学、原子力事業者が共通して使える燃料の解析手段になっています。

受賞論文
Udagawa Y. and Amaya M., "Model updates and performance evaluations on fuel performance code FEMAXI-8 for light water reactor fuel analysis," Journal of Nuclear Science and Technology, Vol. 56, No. 6, pp. 461-470 (2019).
受賞した宇田川豊研究副主幹(写真右)及び天谷政樹グループリーダー(写真左)