センター長挨拶

センター長

原子力機構安全研究センターでは、安全研究・防災支援部門のミッション「規制行政に対する技術支援組織として、価値ある科学的・技術的知見を創出し、原子力安全の継続的改善と原子力防災の実効性向上に寄与する。」の下、東京電力HD福島第一原子力発電所(1F)事故の教訓、原子力利用を取り巻く最近動向(原子力発電所の再稼働、新検査制度導入、カーボンニュートラル、エネルギー安全保障)等を踏まえた研究活動を通じて、原子力安全に係る規制行政、原子力防災等への技術的支援に取り組んでいます。

当センターは10の研究グループからなり、個々の研究者がそれぞれの専門性を活かして原子力発電所のみならず再処理施設や放射性廃棄物処理・処分などに関する安全性、シビアアクシデント(原子力施設の設計想定を大幅に超え炉心が重大な損傷に至るなど、過酷な事故)が発生した場合の人と環境への影響及び緊急時の対応、等を対象とした幅広い研究を行っています。特に、原子力施設の安全性向上に向けたリスク情報活用の推進、原子力発電所の長期運転への対応、原子力発電所炉内廃棄物等の処分に係る環境安全、は現在重点的に取り組んでいる研究テーマです。

当センターでは、原子力機構が有する大型試験施設(大型非定常試験装置(LSTF)大型格納容器試験装置(CIGMA)、原子炉安全性研究炉(NSRR)、燃料試験施設(RFEF)など)を用いた実験、各種解析コード等を用いた研究を実施しています。実験結果とコード解析結果は新しい実験技術・解析評価モデルの開発等に活かされ、得られた研究成果は学術論文等の他、当センターが開発・改良を行っている解析コード等の形に集約し公表しています。これらの研究を進めるにあたり、規制支援において当センターの業務に求められる実効性・中立性・透明性を確保した上で、様々なステークホルダーとの協働や共同研究の実施、国際プロジェクトへの参画、等も積極的に行っています。

また、研究活動を通じた人材の育成も急務です。原子力の利用は数学、物理学、化学、生物学、地学、社会学、経済学等、性質の異なる多くの分野が関係する総合的な活動です。分野間の「隙間」に存在する可能性のある、安全上の重要なポイントを見逃さないために、幅広い視点で研究を進めることが必要かつ重要です。当センターでは、分野の異なる研究者間や研究グループ間での協力、機構外との連携、等によって、原子力利用の安全に関する幅広い視野を有する研究者の育成にも取り組んでいます。

安全研究センターの研究活動や人材育成について、今後とも関係各位のご理解、ご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

安全研究センター長 天谷 政樹