1) 海洋拡散モデル

STEAMERの海洋中における放射性物質の拡散を計算するモデルです。拡散される物質を多数の粒子で代表させて個々の粒子を追跡するモデルです。拡散項にランダムウォーク法を用います。海洋中における放射性物質が溶存相、粒子相、海底堆積相の3つの相の間を可逆的に交換しながら海水中を移流・拡散する3相間交換過程を採用しています。

2) 気象庁の海象予報オンラインデータ

気象庁が一般財団法人気象業務支援センターを介してオンラインで2014年8月から配信を開始した数値海洋モデルの予測結果です。数値海洋モデルは北太平洋および日本近海を中心とする北西太平洋を対象とした2つのモデルから構成されています。計算格子間隔は北太平洋モデルが緯度0.5 度、経度0.5 度(等緯度経度)、鉛直54 層(海面高度を除く)、北西太平洋モデルが緯度0.1 度、経度0.1 度(等緯度経度)、鉛直54 層(海面高度を除く)です。予報期間は実況(1日分)および30日後までの予報です。物理量として水温、塩分、水平流速、海面高度が提供されます。原子力機構ではこれらのデータから鉛直流速を新たに計算して3次元流速データセットを作成し、STEAMERの予測計算に用いています。

3) WSPEEDI

WSPEEDIは、緊急時環境線量情報予測システムSPEEDI (System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)を、世界の任意地点での原子力事故に対応出来るように大幅に改良したもので、世界版SPEEDI(Worldwide version of SPEEDI)の略称です。WSPEEDI第1版は、チェルノブイリ事故を契機に開発に着手し、モデル開発や検証、システム化を経て、1997年に完成しました。その後、様々な事象に対する使用経験に基づく改良により、WSPEEDI第2版が2009年に完成しました。


戻る