1) ウランの核分裂

 ウランの原子核に中性子が衝突して吸収されることにより原子核が分裂する現象。核分裂によって多種多様な核種(核分裂生成物)が生成します。90Srや137Csはウランの核分裂生成物として良く知られています。

2) 半減期

 放射性核種が崩壊して、元の数の半分になるまでの時間。107Pdの半減期はおよそ650万年とされています。

3) 高レベル放射性廃棄物

 使用済燃料を溶解してウランとプルトニウムを回収(再処理)した後に残される放射性物質を多量に含む廃棄物のこと。使用済燃料を再処理せずに処分する場合は、使用済燃料自体が高レベル放射性廃棄物となります。

4) 従来の分離法

 特定の元素や同位体を正確に測定するために、実際に測定する前に何らかの分離操作によって妨害物質を除去します。従来法としては、還元剤や酸性度などを変える試薬を添加して目的の物質を沈殿させる方法、特定の物質に結合する試薬を溶解した有機溶媒中に目的物質を抽出する方法(溶媒抽出法)、イオン交換樹脂などの吸着体を充填したカラムを用いる方法などがよく知られています。

5) パルスレーザー

 レーザーは発振方式の違いによって、連続波発振とパルス発振に分類できます。連続波発振はレーザー光を連続して発振するのに対し、パルスレーザーは光をパルス的に(短い時間幅で)繰り返し発振します。パルスレーザーは、平均出力は低くても短時間に高出力を得たい場合に有効です。開発したPd分離法では、パルス幅が約4-6 ナノ秒(10–9秒)、繰り返し発振パルス数が1秒間に10パルス(10Hz)の汎用型パルスレーザーを用いています。

6) 還元反応

 物質が電子を受け取る化学反応のこと。ある物質の還元反応を起こしたい場合、電子を放出しやすい物質を共存させます。開発した分析法では、二つのエタノール分子が電子を放出し、2価のパラジウム陽イオンが電子を受け取って電荷がゼロの金属パラジウムとなります。

7) 王水

 濃塩酸と濃硝酸とを3:1の体積比で混合した液体。金やパラジウムなどの溶けにくい金属を溶かすための強力な酸として知られています。

8) 不確かさ

 測定値のばらつきの程度を数値で定量的に表した尺度。測定値がもつばらつきを付すことで、真の値があると推定できる範囲を示します。

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