【用語解説】

注1)スピントロニクス

電子の磁気的性質であるスピンを利用して動作する全く新しい電子素子(トランジスタやダイオードなど)を研究開発する分野のこと。

注2)スピノン

量子力学的機構によってスピンを運ぶ状態。物質中で、粒子にように振る舞う。

注3)スピンゼーベック効果

東北大学(当時は慶應義塾大学)の齊藤英治教授、内田健一准教授らにより2008年に発見された。温度差をつけた磁性体において、温度勾配と並行に電子が持つ磁気的性質であるスピンの流れ(スピン流)が生じる現象のこと。

注4)準粒子

物質の内部で生じる物理量の変化(揺らぎ)が、物質中で粒子のようにふるまうもの。結晶を構成する原子の位置の揺らぎに対応したフォノン、磁石を構成するスピンの揺らぎに対応したマグノンなど様々なものがある。

注5)マグノン

磁石の内部で整列したスピンの向きの揺らぎのこと。物質中で、粒子のようにふるまう。

注6)スピン液体

スピン相関があるにもかかわらず、長距離秩序がないスピン状態。スピン同士はお互いの向きを知っているものの、スピンの向きが全て同じであったり、互い違いになったりと、秩序を持たない。

注7)反強磁性転移

磁気相転移の一つで、隣り合うスピンが、大きさは同じで逆向きに整列した反強磁性となるもの。

注8)磁気相転移

スピンの向きがバラバラな状態(常磁性)から、スピンの向きが揃った状態(強磁性・反強磁性)へと変化すること。

【論文タイトル】

“One-dimensional spinon spin currents”
Daichi Hirobe, Masahiro Sato, Takayuki Kawamata, Yuki Shiomi, Ken-ichi Uchida, Ryo Iguchi, Yoji Koike, Sadamichi Maekawa, and Eiji Saitoh.
doi: 10.1038/NPHYS3895


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