平成28年8月31日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

花崗岩の主要な構成鉱物中に物質を閉じ込める微小空隙の存在を確認

【発表のポイント】

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長 児玉敏雄)東濃地科学センター 結晶質岩地質環境研究グループの石橋正祐紀、笹尾英嗣主任研究員、濱克宏主任研究員らの研究チームは、岐阜県瑞浪市にある瑞浪超深地層研究所の深度300m及び500mの研究坑道で採取した花崗岩試料を用いて、水に溶けた物質が岩石中を拡散していく現象を調べる試験(拡散試験)を行い、鉱物内の微細な構造を観察した結果、肉眼では変質(ある鉱物が溶液と反応して別の鉱物に変化すること)が認められないような花崗岩の健岩部においても、花崗岩の主要な構成鉱物の一つである斜長石の中に微小空隙が形成・発達していること、また、この空隙の中を選択的に物質が拡散していることを明らかにしました。

図1

斜長石の中の微小空隙の分布(緑色の部分)

このような微小空隙中での拡散は、地下水に溶けている物質の地層中での移動を遅らせる能力を高めると考えられます。また、今回確認された斜長石の中の微小空隙は、花崗岩体の形成時に生じたものと推定されることから、国内の他の花崗岩にも存在すると考えられます。

従って、国内の花崗岩では、健岩部においても、高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全性にとって重要な地層による物質の閉じ込め能力が期待できると考えられます。

なお、本研究成果は、日本における地層処分の安全性を評価する上で重要な知見として、一般社団法人日本原子力学会の学会誌「原子力バックエンド研究」に8月22日に掲載されました。

参考部門・拠点: 東濃地科学センター

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