【参考資料】

1)高速中性子直接問いかけ法(FNDI法:Fast Neutron Direct Interrogation Method)

核分裂によって放出された中性子の検出数と中性子の消滅時間から、ウラン235のような核分裂しやすい核種(核分裂性核種)の総量を測定する手法。核分裂性核種に極短い時間幅で中性子を照射すると、核分裂反応が誘発されて中性子が極短時間放出される。FNDI法を用いることで、他技術では測定が困難な内容物(例えば金属系内容物)内に偏在している微量の核分裂性核種を迅速かつ実用的な精度で計測できる。
参考: 春山他、 “14MeV中性子直接問いかけ法による高感度検出、 (I)金属系ウラン廃棄物”、日本原子力学会和文論文誌,(Vol.3(2004) No.2)

2)計量管理装置

核物質の在庫量の測定に使用する測定機のこと。原子力事業者は、原子炉等規制法に基づき、施設で核物質を取扱う場所を定め、その区域で一定期間に搬入・搬出される核物質の増減や現在の核物質の在庫量を、厳密・正確に管理している。このことを計量管理という。事業者はこれらの情報を原子力規制委員会に報告するとともに、日本・国際原子力機関(IAEA)保障措置協定や二国間原子力協力協定といった国際約束に基づきIAEAに報告している。

3)保障措置

核物質その他の原子力資機材が平和目的だけに利用され、核兵器等に転用されないことや、未申告の核物質や原子力活動がないことを確認するために行われる査察(検認)活動をいう。

4)査察(検認)活動

核物質の記録を確認し、報告された計量管理報告書と照合して、在庫及び移動の検認を行う活動をいう。保障措置の対象となる核物質、機器または施設の使用されている状況が保障措置協定の規定に従っていることを検認するためにIAEAが行う一連の現場検証活動を国際査察といい、国内法、規則等、並びに協定に従っていることを検認するために国内査察官が行うものを国内査察という。

5)中性子消滅時間

計測された中性子の数(計数値)が1/e(≒0.37)にまで減衰する時間のこと。高速中性子直接問いかけ法(FNDI法)では、照射された中性子成分と核分裂による中性子成分の総和が時間変化で検出されスペクトルとして観測される。スペクトルを分離解析したとき、各成分は固有の指数関数的な減衰傾向を示す。FNDI法では、各成分の中性子消滅時間が乖離しているため容易に成分分離が可能となる。


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