スピン流を用いて磁気の揺らぎを高感度に検出することに成功
―スピン流を用いた高感度磁気センサへ道―

発表者:

新見 康洋 (大阪大学大学院理学研究科 准教授、研究当時: 東京大学物性研究所 助教)
木俣 基 (東京大学物性研究所 助教)
大森 康智 (東京大学新領域創成科学研究科物理学専攻 博士課程1年)
顧 波 (日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター 研究員)
Timothy Ziman (CNRS-Laue Langevin研究所 教授)
前川 禎通 (日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター センター長)
Albert Fert (パリ第11大学 教授)
大谷 義近 (東京大学物性研究所 教授)

発表のポイント:

発表概要:

電子は電荷とスピンという2つの属性を持ちます。通常のエレクトロニクス素子では電荷のみの性質を利用しますが、近年注目を集めているスピントロニクス素子ではスピンに依存した電子の伝導が重要な役割を果たします。その中でも、電荷の動きを伴わないスピンのみの流れを「純スピン流」と呼び、低消費電力素子へ応用が期待されています。

東京大学物性研究所の新見康洋助教(研究当時、現:大阪大学大学院理学研究科准教授)、大谷義近教授、日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センターの前川禎通センター長らの研究グループは、磁気の乱れが強い「スピングラス」と呼ばれる状態に、純スピン流を注入することで、超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いた磁化測定では観測できなかった磁気の揺らぎを高感度に検出することに成功しました。この技術を応用することで、将来的に純スピン流を用いた高感度磁気センサへの道が開けると期待されます。

本研究成果は、『Physical Review Letters』(11月6日付)に掲載されます。

参考部門・拠点: 先端基礎研究センター

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