平成27年3月27日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
福島研究開発部門 福島環境安全センター
【発表のポイント】
独立行政法人日本原子力研究開発機構（理事長 松浦祥次郎。以下、原子力機構）福島環境安全センターは、原子力機構におけるこれまでの環境回復の取り組みで得られた知見を３件の英文報告書として取りまとめ、原子力機構のホームページにおいて公開しましたことをお知らせいたします。
東日本大震災から４年が経過し、東京電力(株)福島第一原子力発電所事故（以下、事故）後の環境回復に関わる取組が進んできています。原子力機構は国内唯一の原子力の総合的な研究機関であり、事故直後から災害対策基本法の指定公共機関として活動を開始し、避難住民の早期帰還や住民の安全・安心の確保に向けて、国からの受託による除染モデル実証事業等を実施してきており、国内外の関係機関と協力し環境回復に率先して取り組んできました。
事故後の福島での環境回復の取組については、国際的にも高い関心が寄せられているものの、これまでの取組を俯瞰できるような海外への情報発信は乏しかったことから、広く国際的に関心のある方々にご利用頂けるよう以下の３件の英文報告書を取りまとめ公開しました。
(1) 除染モデル実証事業等で得られた知見（その１）（除染モデル実証事業の概要）
Fukushima Environmental Safety Center, "Remediation of contaminated areas in the aftermath of the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station: Overview, analysis and lessons learned Part 1: A report on the “Decontamination Pilot Project," JAEA-Review 2014-051, 2015.
http://dx.doi.org/10.11484/jaea-review-2014-051
(2) 除染モデル実証事業等で得られた知見（その２）（モデル事業後のフォローアップ、広域除染、除染に関する国際的な議論）
Fukushima Environmental Safety Center, "Remediation of contaminated areas in the aftermath of the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station: Overview, analysis and lessons learned Part 2: Recent developments, supporting R&D and international discussions," JAEA-Review 2014-052, 2015.
http://dx.doi.org/10.11484/jaea-review-2014-052
原子力機構が内閣府より受託した「除染モデル実証事業」（2011年9月～2012年6月）の結果については、事業終了後に詳細な和文報告書として国に提出しています。今般、諸外国の専門家を読者と想定し、本英文報告書としてとりまとめました。
除染モデル実証事業の概要を（その１）に、また、除染モデル実証事業で得られた成果の広域除染に対する反映、モデル実証事業終了後の継続的な線量測定などフォローアップの結果、原子力機構が関わった除染技術開発、広域除染の現況、および福島における除染に関する国際的な議論などを（その２）としてまとめています。
(3)これまでの環境回復の取組で得られた知見
Miyahara, K., McKinley, I.G., Saito, K., Hardie, S.M.L., & Iijima, K. (2015), "Use of Knowledge and Experience Gained from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station Accident to Establish the Technical Basis for Strategic Off-site Response", JAEA-Review 2015-001, 2015.
http://dx.doi.org/10.11484/jaea-review-2015-001
原子力機構における環境回復に関わる取組を踏まえ、環境モニタリング・マッピング、放射線防護、除染・除去物対策、環境動態に関わる研究開発の主な成果を俯瞰できるよう、国際的に関心のある方々の活用に資する英文報告書としてまとめています。
なお、これらに関連する下記の日本語の報告書を原子力機構のホームページ上で公開しています。
【これまでの環境回復に係わる日本語での報告書】
・環境再生に向けて（2012年版）
・環境再生に向けて（2013年版）
・東京電力（株）福島第一原子力発電所事故に係る廃止措置及び環境回復への原子力機構の取組み（2014年版）
原子力機構のホームページ http://fukushima.jaea.go.jp/