独立行政法人日本原子力研究開発機構

平成27年3月12日
独立行政法人日本原子力研究開発機構

最新の原子核崩壊データを手の中に
−原子核崩壊データを網羅した原子核の世界地図「原子力機構核図表2014」の完成−

【発表のポイント】

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 松浦祥次郎。以下「原子力機構」という。)原子力科学研究部門先端基礎研究センター重原子核反応フロンティア研究グループの小浦寛之研究主幹および同部門原子力基礎工学研究センター核データ研究グループの湊太志研究員は、長岡技術科学大学、早稲田大学と共同で、「原子力機構核図表2014」を作成し、公開します。

「核図表」は原子核全体の性質を一目で俯瞰出来るツールで、元素の周期表の原子核版です。核図表は、例えば東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故で問題になっているセシウム137の半減期など、個々の原子核の詳細な特性とともに、すべての原子核の全体像を把握できる、いわば原子核の世界地図ともいえるものです。原子力機構では、1977年(旧日本原子力研究所)以来、原子力の基礎データである核データの最新知見を反映した「原子力機構核図表」を4年ごとに更新してきました。他の核図表に見られない大きな特徴の一つは、未発見原子核の性質までも、原子核の理論予測の成果を用いて収録していることで、これにより未知元素・同位体合成実験の最先端研究ツールとして国内外の研究者に広く利用されています。

今回作成した「原子力機構核図表2014」は、これまで実験的に確認された3,150核種を掲載し、そしてそのうち9割を超える2,916核種の崩壊半減期1)の評価値と23種類の崩壊様式2)のデータ、さらに1,578核種の未知の半減期について理論予測値3)を収録しています。今回の大きな改訂点は、極限原子核実験の研究4,5)に大きな指針を与えるよう、極短寿命(10-20秒以下)の原子核の新たな追加や、原子核の存在限界の目安となる境界線(ドリップ線)を新たに掲載した点です。

原子核研究の最前線情報を把握できる研究ツールとしての利用とともに、高校生や一般の方々に対し、宇宙における元素の起源や原子炉における放射性核種の生成や変換についてなど、原子核に関するさまざまな現象を理解するための教材や講義資料として親しみながら広く利用されることを期待しています6)

なお、本成果の情報は原子力機構原子力基礎工学研究センター核データ研究グループのホームページでも公開する予定です。
URL: http://wwwndc.jaea.go.jp/CN14/index.html

参考部門・拠点: 原子力基礎工学研究センター

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