【用語説明】

1) アントシアニン

植物に広く分布する色素成分の一種で、赤~紫~青色を呈する。色素の原料となるアントシアニジンに、糖や糖鎖が様々なパターンで結合した分子の総称。

2) Ct3GT-A

チョウマメ(Clitoria ternatea)の花弁に含まれるUDP-glucose: anthocyanidin 3-O-glucosyltransferaseの略称。同植物に含まれるアミノ酸配列のよく似たタンパク質を、それぞれの糖転移活性に因んでCt3GT-BおよびCt3′5′GTと呼ぶ。

3) アントシアニジン

プラスの電荷を帯びた、3つの環構造からなる分子(図2)。単環上の置換基の種類と数により、それぞれ異なる色調を発現する。

4) フォトンファクトリー(PF)

茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構に設置された大型放射光施設。本研究では、PF構造生物ビームライン(BL6A)に設置されていた回折計を利用した。

5) SPring-8

兵庫県播磨科学公園都市にある世界最高の放射光を生み出す理化学研究所の施設。名前はSuper Photon ring-8 GeV(ギガ電子ボルト)に由来する。本研究では、構造生物学ビームラインIII(BL38B1)に設置されている回折計を利用した。

6) X線結晶構造解析

酵素を含め、タンパク質分子の形(立体構造)を詳細に決定する実験方法。対象となるタンパク質の単結晶を作製し、X線を照射することによって、その立体構造を原子レベルで決定することができる。

7) フラボノール

4位にカルボニル基を有する、3つの環構造からなる分子(図2)。単環上の置換基の種類と数により、それぞれ異なる色調(白~黄色)を発現する。

8) 糖転移酵素

糖ヌクレオチド(糖供与体)から糖部分を切り離し、他の分子(糖受容体)の水酸基やアミノ基、カルボキシル基などに付加する反応を触媒するタンパク質の総称。

9) 糖ヌクレオチド

糖転移反応における糖の供給源。ヌクレオチドがグルコースなどの単糖と結合することにより、糖部分が反応しやすい状態になる。

10) 脱プロトン化

置換基からプロトン(H+)を引き抜き、マイナスの電荷を生成する反応。

11) 1位、3位、4位

化合物中の置換基の位置を示す番号。

12) His-Asp触媒二残基

糖転移酵素において、ヒスチジン側鎖とアスパラギン酸側鎖が水素結合を形成し、糖受容体の脱プロトン化を担う。

13) 組換えタンパク質

ある生物種に由来するタンパク質を人為的に別の生物種の細胞に作らせたタンパク質分子。


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