独立行政法人日本原子力研究開発機構

平成27年2月12日
株式会社 サンルックス
独立行政法人 日本原子力研究開発機構

放射線で加工した樹脂が学校教材に
- 原子力機構の「放射線橋かけ技術」を活用した形状記憶樹脂を製品化 -

【発表のポイント】

株式会社サンルックス(代表取締役社長 長谷 仁。以下「サンルックス」という)は、独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 松浦祥次郎。以下「原子力機構」という)と共同で、放射線橋かけ技術1)を活用して作製した形状記憶樹脂を、放射線の作用を理解するための学校実験教材として初めて開発し、製品化することになりました。

これまで中学校及び高等学校で用いられてきた放射線に関する教育教材は、霧箱やシンチレーション検出器、GM計数管などの放射線を計測するものがほとんどです。しかし、我々の社会では電線ケーブルの被覆材、熱収縮チューブや自動車のラジアルタイヤの製造などの様々な産業で放射線橋かけ技術が利用され、暮らしに役立っていることから、学校の理科教育の場でも放射線の作用を見て理解できる、さらに体験できる新しい実験教材が求められています。

このため、サンルックスは原子力機構が有する放射線橋かけ技術を活用し、生分解性樹脂であるポリカプロラクトン樹脂2)に形状記憶性を持たせた学校用実験教材を共同開発しました。この教材は、放射線橋かけを施したものと施さないものの2種類があり、放射線橋かけを施していない樹脂は60℃程度の温水中で溶けますが、放射線橋かけした樹脂は、温水中で溶けずに引っ張ると伸びて、室温では固まり、再び温水に浸けることで元の形状に戻ります。このような樹脂の溶ける様子と伸びて元に戻る様子を観察することにより、放射線の作用の一つである「放射線橋かけ技術」を安全かつ簡単に体験、理解することができます。

本製品は、本年4月から学校教材の販売メーカーから販売される予定です。

なお、平成27年2月17日開催の放射線利用フォーラム2015 in 高崎(高崎市)において、本製品の展示、実演を行う予定です。

参考部門・拠点: 量子ビーム応用研究センター

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