【用語説明】

1) 引張り型残留応力:外力を除去した後や溶接加工の後に、物体内部に残る応力成分の一つであり、機械的強度を低下させる要因。

2) 高輝度単色X線:一つの波長のみから成る高輝度X線。

3) レーザー溶接:レーザー光を熱源として、材料を局所的に溶融・凝固させ接合する方法。加工中の溶融金属の温度分布を適切に制御することにより、適切な残留応力分布を付与することが可能。

4) SPLICEコード:レーザー切断、溶接現象の解明に向けて開発した多次元コード。一流体モデルを用いて統一的に気・液・固の挙動が解析可能であり、溶接時の残留応力制御を目標としていることから、residual Stress control using Phenomenological modeling for Laser welding repair process In Computational Environment とし、SPLICEと命名。

5) 多階層スケールモデル:溶接過程では、熱源からの入熱により、加熱・溶融・対流・凝固・固相変態が生じる。この一連のプロセスで生じるレーザー光と物質の相互作用、物質の溶融、気化、凝固など複雑な相変化などは、原子レベルから目視可能な液体の運動レベルまで様々なスケールの物理現象が複雑に絡まりあう物理過程であり、これを微視化および粗視化を通じて取扱うモデル。

6) SIPプログラム「革新的設計生産技術」:SIP課題は、社会的に不可欠で、日本の経済・産業競争力にとって重要な課題を総合科学技術・イノベーション会議が選定したもので、基礎研究から実用化までを見据えて一気通貫で研究開発を推進するものです。当該研究開発の実施に当たっては、上記研究により得られた定量評価技術などを積極的に活用して進めることになります。今後4年半に亘る研究開発により得られた成果は、新たなものづくりスタイルを広く普及・展開することで、地域発のイノベーションを実現し、グローバルトップを獲得できる新たな市場を創出し、日本のものづくり産業の競争力強化に反映されます。


戻る