用語解説:

注1)放射性セシウム

原子炉などにおけるウラニウムの核分裂反応で形成されるセシウムの放射性同位体Cs-137とCs-134を総称してここでは放射性セシウムと呼ぶ。この放射性セシウムは崩壊する時に高エネルギーのベータ線とガンマ線を放出し、特にガンマ線は物質の透過能力が高いため、福島地域の高放射線量の主要な源となっている。またCs-137が半分に減少する時間(半減期)が30年近いため、今後長期にわたってガンマ線を放出し続ける。

注2)粘土鉱物

地殻を構成する岩石や溶岩、火山灰などが長い年月の間に地表で風化することによって形成される非常に細粒の鉱物群のことで、土壌などに大量に含まれる。あるいは土壌は粘土鉱物と植物等の腐食で形成される有機物の集合体と言える。

注3)イメージングプレート(IP)オートラジオグラフィー

放射線(X線、電子線、ガンマ線など)の照射によって感光する記録媒体を使って放射性物質の分布を調べる手法をオートラジオグラフィーと呼ぶ。従来は記録媒体として銀塩フィルムなどが使われていたが、デジタル化が容易で検出感度や定量性の高いイメージングプレートを使うときは、IPオートラジオグラフィーと呼ぶ。

注4)集束イオンビーム加工

イオン化したガリウムイオンを電子レンズで集束し、その方向を制御することで、試料中の数ミクロンという微小な領域の切断、掘削などができる装置や手法のこと。

注5)風化黒雲母

黒雲母は花崗岩中に含まれる(花崗岩の黒色を呈する部分)典型的な珪酸塩鉱物であるが、この黒雲母が地表の環境に長期間さらされることによって風化し、黒雲母の構成成分である鉄の酸化やカリウムの減少が起きたものをここでは風化黒雲母(weathered biotite)と呼ぶ。尚、この風化黒雲母はしばしば“バーミキュライト”という商品名で市場に出回っているため、この名前を使う研究者も見られるが、学問的にはこの名前は正しくない。


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