【用語説明】

注1 スピン
電子などのミクロな粒子が有する自転のような性質。電子スピンは磁石の磁場の発生源でもある。スピンの状態には上向きと下向きという2つの状態がある。原子核にもスピンを持つものがある。
注2 量子力学
1926年に成立した、原子や原子核などのミクロな世界を精密に記述するための基礎理論。エレクトロニクスやナノテクノロジーは、すべて量子力学を基盤として発展してきました。
注3 ナノメカニクス
ナノメートルサイズの機能素子開発を目的とするナノテクノロジーにおいて、特に機械的機能を持たせようとする研究。電子などのミクロな粒子が本来持つ磁気や回転といった性質がその駆動原理として注目されている。
注4 核磁気共鳴法
原子核の磁気的な性質(原子核スピン)を利用して、原子核位置にはたらく磁場を測定する手法である。一般的には物質の外部から人為的に磁場をかけ、磁場との相互作用によって原子核スピンを共鳴可能な状態にする。ここに共鳴状態に対応した周波数の電磁波を照射すると共鳴がおこる。共鳴周波数は原子核位置の磁場の大きさと比例関係にある。原子核位置にはたらく磁場は、外部磁場と、原子内部の電子が作る磁場などの和である。核の感じる磁場には電子系の情報が含まれるため、この磁場を解析することで分子の構造等の物質の性質がわかる仕組みである。本研究では回転によって生じた磁場を測定した。また、外部磁場の空間分布を制御することで原子核の空間分布がわかり、画像化することが出来る(MRI)。特殊な場合として、磁石そのものが持つ磁場を利用して、人為的に外部磁場をかけなくても共鳴が可能となる例もある。

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