独立行政法人日本原子力研究開発機構/国立大学法人東北大学/ミラノ工科大学/欧州シンクロトロン放射光施設/国立大学法人京都大学/J-PARCセンター/一般財団法人総合科学研究機構/大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構/学校法人関西学院

平成26年4月25日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
国立大学法人東北大学
ミラノ工科大学
欧州シンクロトロン放射光施設
国立大学法人京都大学
J-PARCセンター
一般財団法人総合科学研究機構
大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
学校法人関西学院

量子ビームの合わせ技で電子の動きを捉える
〜三種の非弾性散乱を用いて銅酸化物高温超伝導体における
電子励起状態の全体像を解明〜

【発表のポイント】

独立行政法人日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究センター石井賢司研究主幹、国立大学法人東北大学金属材料研究所藤田全基教授、国立大学法人京都大学基礎物理学研究所遠山貴己教授(現東京理科大学教授)らは、ミラノ工科大学、欧州シンクロトロン放射光施設、J-PARCセンター、一般財団法人総合科学研究機構、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構、学校法人関西学院との共同研究により、銅酸化物超伝導体1)における電子の動きの全体像を解明することに成功しました。

本研究では、近年技術が発展した三種の量子ビーム2)、軟X線、中性子、硬X線の非弾性散乱3)を組み合わせることで、負の電荷が導入された(電子ドープ4)型)銅酸化物高温超伝導体におけるスピンと電荷の励起の全容を明らかにしました。

銅酸化物では、超伝導発現のために導入した電荷が正の物質(ホールドープ型)と負の物質(電子ドープ型)の二種類があることが知られていますが、本研究で得られた電子ドープ型の電子の動きはホールドープ型での動きとは大きく異なっており、より動きやすい状態5)にあることがわかりました。今後、このような電子の動きを統一的に記述するような理論モデルを探索することで、銅酸化物における超伝導発現機構解明に近づけるものと期待されます。また、この成果は、非弾性散乱における量子ビーム相補利用研究の有用性を初めて実証したものでもあります。

本研究内容は2014年4月25日に、英国科学誌Nature Communicationsにオンライン掲載される予定です。


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