用語説明

1) 最先端・次世代研究開発支援プログラム

世界をリードすることが期待される研究者に対する研究支援を行うとともに、グリーンイノベーション及びライフイノベーションを推進し、中長期的な我が国の科学技術の発展を図り、持続的な成長と政策的・社会的課題の解決に貢献することを目的とした、内閣府が主導する研究開発事業です。今年度(平成25年度)で本プログラムは終了します。
 最先端・次世代研究開発支援プログラムに関するホームページ http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/index.html

2) イオン伝導体

主にセラミックスや高分子シート等の、イオンを伝導させる性質を有する材料。本研究開発では、NASICON型結晶構造のセラミックスのイオン伝導体を、リチウム分離膜として使用しました。このイオン伝導体は、発火性が低く、充電量の大きい次世代リチウムイオン電池の電解質材料としても期待されています。他のイオン伝導体としては、燃料電池で用いられる酸素を選択的に透過させる性質を有するセラミックスであるイットリア安定化ジルコニア、水素を選択的に透過させる性質を有する高分子シートであるナフィオン等、様々なイオン伝導体が存在します。

3) リチウム

リチウムは、希少な31種類のレアメタルの中の一つです。携帯電話、ノートパソコン等の充電用電池である小型リチウムイオン電池、電気自動車、家庭用蓄電池用の大型リチウムイオン電池の原料です。リチウム資源は、チリ、アルゼンチン、ボリビア等の南米に偏在しており、地上の埋蔵量は約3000万トンと推定されています。一方、海水には約2300億トンのほぼ無尽蔵のリチウム資源が存在すると推定されているため、資源の乏しい日本においても海水からのリチウム資源回収技術が実現すれば、リチウム資源大国になることが可能です。

4) 電気を発生

イオン伝導体中をイオンが移動することで、イオン伝導体の両端に設置した電極間を電子が流れます。海水側(−極)では、塩素イオンが塩素ガスになる反応で電子が発生します。一方、回収溶液側(+極)では、水素イオンがこの電子を受け取り、水素ガスになる反応が生じます。

5) ゼロ・エミッション

資源回収やリサイクルでは、必要とする資源が得られると同時に、化石燃料や電気等の外部エネルギーを消費するため、地球環境への負荷もかかります。本技術により、リチウム分離過程で発生する電気を、リチウム回収システム全体で有効利用することで、地球環境への負荷をゼロにするゼロ・エミッションを目指すことが可能になります。

6) NASICON型結晶構造のセラミックス

セラミックスは様々な結晶構造で構成されています。中でも、NASICON型、ガーネット型、ペロブスカイト型等の結晶構造は、イオン伝導性を有することで知られています。本研究では、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ケイ素(Si)、リン(P)、酸素(O)を含むNASICON型セラミックスをリチウム分離膜として使用しました。


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