【用語解説】

1.光の名称、可視光、紫外線

目に見える光を可視光と呼び、それよりも波長が短い光を紫外線と呼びます。紫外線の中でも特に200ナノメートルよりも短い波長の紫外線は、大気中を透過できない(吸収されてしまう)ので、真空紫外線と呼んでいます。この波長域ではレンズや窓など屈折と透過を利用した光学部品の使用が可能であり、分解能の良い高速撮影可能な装置を比較的コンパクトに設計・製作することが可能です。

2.紫外線の反射、透過、減衰

光が反射するということは、光を電気・磁気の作用を及ぼす波として考えたとき、物質中の自由に動き回ることのできる電子群が波に瞬時に応答し、応答した電子が出す光として説明されます。この場合、波は表面で反射されます。一方透過はその波の山と谷の間隔が短すぎてまったく電子群が応答できない場合、波は物質中に入り込むことができ透過といいます。入り込んだ波は物質中に様々な振動を引き起こし、波のエネルギーから物質中の振動エネルギーへ移って行きます。このような現象を減衰といいます。

3.ナトリウムの光学的性質

1960年代の研究により、自由電子とイオンにより構成されるナトリウム金属中で反射が支配的になる波長(プラズマ遮断波長と呼ぶ)が約200ナノメートル(0.2マイクロメートル、1マイクロメートルは千分の1ミリメートル)と紫外線の中に入ることが示されました。これより波長の短い光では金属中の透過が期待できます。ただし透過が起こってもナトリウムの中で紫外線の減衰が大きいと透過装置にはなりません。分厚いナトリウム中での紫外線の減衰は不明のままでした。

4.ナトリウムと水の反応

ナトリウムは通常、水や空気(酸素)と反応し酸化物に変わります。純粋なナトリウムは目に見える光(可視光)では銀色の金属光沢をしています。しかし反応が起こると金属光沢が消え、表面が曇ったようになり、さらに反応が進むと白色に変わります。この状態になると、紫外線はまったく透過しなくなります。

5.紫外線用光学部品、窓、レンズ等

本研究で用いる波長120ナノメートルまで使用可能な透明物質はフッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどです。いずれも温度摂氏200度以上の高温での使用が可能です。

6.グローブボックス

大気中で作業できない物質のサンプルの作成などに用いられる作業用のボックスのことです。通常両腕を伸縮自在な作業用手袋に挿入し、その手袋越しに種々の作業を行います。本研究の場合はナトリウムを取り扱うため、ボックス中はどの物質とも事実上まったく反応しないアルゴンガスが封入されています。また作業雰囲気中の水分の量は等価的飽和蒸気圧の指標である露点温度で表示しますが、本作業では、マイナス70℃以下でした。水分は、ほぼ無いことを示しています。

7.紫外線の発生法

紫外線は重水素ガスやアルゴンガス等の中の電気放電を用いたランプにより発生します。また波長150ナノメートル近辺までは市販のレーザー光源が入手できます。本研究に必要な波長120ナノメートル近辺では市販のレーザーは無く、主として紫外線ランプを用いることになります。


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