独立行政法人日本原子力研究開発機構

平成25年5月17日
独立行政法人日本原子力研究開発機構

銅やアルミニウムで磁気の流れを生みだす原理を発見
−レアメタルフリー磁気デバイス開発に道−

【発表のポイント】

独立行政法人日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センターの松尾衛研究員らの研究グループは、銅やアルミニウムなど身近な金属への音波注入によって電子の持つ磁気の流れ「スピン流1」」を生みだす新しい原理を発見しました。

電子は、地球やコマのように「自転」をしており、量子力学2)によって、この電子の自転(スピン)が磁気の起源であることが分かりました。近年、ナノテクノロジーのめざましい発展にともなって、電子の自転の向きを揃えた「スピン流」を生みだす技術が注目されています。電荷の流れである「電流」と同時に、磁気の流れである「スピン流」を上手く利用することによって、電源を供給しなくても記憶を保持できる不揮発性メモリなど省電力デバイス開発が進んでいます。

今回、当研究グループは、音波注入によって振動する金属中における磁気の流れを精密に表す基礎方程式を導き、音波注入によって金属中にスピン流を生みだす新しい原理を発見しました。その結果、プラチナのような貴金属や磁石を用いる従来の手法とは異なり、銅やアルミニウムのような身近で安価な金属を用いてスピン流の生成が可能であることが分かりました。

本研究によって、貴金属や磁石を必要としない省電力磁気デバイス開発への貢献が期待できます。

本研究成果は、米国物理学会誌「Physical Review B」の速報版として近日中にオンライン掲載される予定です。

以上

参考部門・拠点:先端基礎研究センター

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