平成24年12月10日
群馬産業技術センター バイオ・食品係
日本原子力研究開発機構

群馬県の新しい吟醸用清酒酵母ができました!

1 新酵母開発の背景と経過

(1)清酒は、観光・地場産業振興の有力なツールであり、特色を持った商品が求められています。その方法のひとつとして、各県の試験研究機関では独自の清酒酵母開発を進めています。群馬県では平成14年に県独自の吟醸用清酒酵母(群馬KAZE酵母)を既に実用化しています。

(2)市場における嗜好の変化に対応するため、平成20年より群馬産業技術センターと原子力機構は共同研究を開始し、原子力機構の高崎量子応用研究所イオン照射研究施設(TIARA)を利用した新しい育種法(イオンビーム育種技術)による酵母の開発に取り組みました。イオンビーム育種技術を世界に先駆けて確立し、植物育種に加えて微生物育種への適用にも実績が多い原子力機構との共同研究によって、独自性を持った酵母の速やかな開発が期待できました。

(3)2000株以上のイオンビーム照射酵母から、香り成分の生成量を指標に選抜を進めました。選抜した優良株35株(候補)について、群馬産業技術センターで白米60kg規模の試験醸造を3年間にわたり実施し、十分な醸造適性がある1株を最終的に絞り込みました。

2 新酵母の特性

(1)発酵力
従来のKAZE酵母と遜色ありません。
(2)風味
吟醸酒の主要な香り成分(カプロン酸エチル)はKAZE酵母と同等以上です。一方で、独特の甘い香りが特徴的です。新たなタイプの吟醸酒製造が期待できます。

(表1)試験製造酒の成分

3 今後の予定

群馬県オリジナルの新しい吟醸酵母として、希望する県内酒造蔵に頒布予定です。

以上

参考部門・拠点:量子ビーム応用研究部門

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