【用語説明】

1)放射反作用
荷電粒子が加速度運動をするとき放射を出すが、その反作用として荷電粒子はエネルギーを失い減速される。これを放射反作用あるいは放射減衰効果と呼ぶ。放射反作用は、これまでのレーザー実験では無視できる程小さかったが、10PWというような高出力レーザーを利用する場合は無視できなくなる。
2)軌道放射
荷電粒子が加速度運動を行うと電磁波を放出する。そのような例として円形加速器からの軌道放射がある。円形加速器(蓄積リング)は、磁力によりわずかな曲率を持つ曲線軌道と直線軌道とをつなぎ合わせたものである。磁石で曲げられる際に大きな加速度を受け電磁波を放出し、同時に放射反作用によりエネルギーを失う。このエネルギーを補うため直線軌道で加速する必要がある。円形加速器中の電子に対しては、放射反作用は加速エネルギーに制約を与えるとともに、横方向のビーム広がり(エミッタンス)を抑える効果もある。
3)プラズマ
物質が電離し、イオンと電子に分離された状態。高強度レーザーを固体に照射した場合、レーザー照射直後にレーザーの電場によるイオン化がきっかけとなって自由電子が発生し、レーザーのエネルギーが発生した自由電子に吸収され温度が上昇する。加熱された電子がさらに周囲の原子に衝突してイオン化することにより固体照射面が高密度のプラズマ状態となる。
4)ガンマ線
可視光線や紫外線などと同様に電磁波の一種で、波長はピコメートル(10の12乗分の一メートル)、エネルギーが100万電子ボルト以上となる。エネルギーが高いことから、物質を透過する能力が強くイメージング、ガン治療、放射線滅菌等に利用されている。ちなみに可視光は、波長は380〜750ナノメートル(1ナノは10の9乗分の一)、エネルギーは1.7〜3.3電子ボルト程度。
5)ガンマ線バースト
ガンマ線が非常に短い時間に放出される現象のこと。宇宙空間で観測されているガンマ線バーストは1044ジュール程度のエネルギーが0.1〜1秒程度の間に放出され、その発生機構やその星間プラズマとの相互作用の解明が進められている。高出力レーザーを使ったガンマ線フラッシュの場合は、ガンマ線が数十フェムト秒(10の14乗分の一秒)程度と極めて短い時間に発生することから、超高出力のガンマ線源となる。

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