独立行政法人日本原子力研究開発機構

平成23年11月25日
独立行政法人日本原子力研究開発機構

JT-60の研究成果がニュークリア・フュージョン賞2011を受賞
−核融合炉出力の決定因子を解明−(お知らせ)

【発表のポイント】

高効率の核融合発電の実現には、燃料であるプラズマの圧力を高める必要があるため、境界プラズマに断熱層を形成して圧力を高める方式の研究開発が世界各国で精力的に実施されています。これまで、断熱層の幅を決定する因子として、プラズマ内でイオンが磁力線に巻きついて運動する時の回転半径1)及びプラズマの圧力指数2)が考えられていましたが、どちらが支配的であるかを分離することが困難であったため、将来の核融合炉でのプラズマの到達圧力を高い確度で予測することができませんでした。

独立行政法人日本原子力研究開発機構 核融合研究開発部門の浦野創研究副主幹らの研究グループは、燃料核種の質量比による回転半径の違いに着目して、臨界プラズマ試験装置(JT-60)3)で2種の核種(軽水素と重水素)での実験を実施しました。その結果、断熱層の幅は回転半径ではなく、圧力指数によって決定されることを解明しました。

この成果は三重水素を使用する装置にも適用可能であるため、現在フランスで建設が進められている国際熱核融合実験炉(ITER)4)でのプラズマの到達圧力の予測精度の向上に繋がるだけでなく、将来の核融合原型炉の設計指針を与えるものです。

この成果が国際的に高く評価され、IAEAより2011年のニュークリア・フュージョン賞を受賞いたしました。今回の受賞は、日本のみならずアジア諸国の研究グループとして初の受賞となり、ITER計画において日本の貢献を示す大きな成果です。受賞式は、2012年11月に米国で開催される、IAEA主催 第24回核融合エネルギー会議にて行われる予定です。

以上

参考部門・拠点:核融合研究開発部門

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