用語解説

[WSPEEDI]
WSPEEDIは、チェルノブイル事故を契機に、国外事故の日本への影響をリアルタイムで評価することを目的に、原子力機構が開発したシステム。SPEEDIの広域版にあたるため世界版SPEEDI(Worldwide Version SPEEDI)という名称になっている。世界中の任意の地点からの放射性物質の大気放出について、最大で半地球規模の範囲内での大気拡散予測計算を行うことが可能である。計算は、風速場、乱流場、降水・雲量分布等の大気拡散計算に必要な気象要素を気象モデルで予測し、原子力施設から数10 km程度の狭域から数1000 km規模の広域までの放射性物質の移流・拡散・地表面沈着を、大気拡散モデルで計算する。予測性能は、チェルノブイリ事故や欧州広域拡散実験の再現計算で評価されている。
[湿性沈着]
放射性物質が地表面に沈着するプロセスには、乾性沈着と湿性沈着がある。乾性沈着は、地表面付近の放射性物質が大気乱流や重力沈降により地表面に沈着する状態をさす。一方、湿性沈着は、粒子状の放射性物質が雨滴の核になったり、降雨に付着して雨とともに地表に落ちる状態をさす。降雨沈着では、上空に存在する放射性物質まで地表に落下するため、乾性沈着に比べて沈着量が大きくなる。沈着物質は、そこに残留するため、大気中を移動する放射性物質にくらべて長期に空間線量率の上昇をもたらす。

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