平成23年1月31日
国立大学法人東京大学
独立行政法人日本原子力研究開発機構
国立大学法人東京大学(東大)と独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、平成23年1月31日付で「国立大学法人東京大学と独立行政法人日本原子力研究開発機構との計算科学研究協力に関する覚書」を締結しました。
本覚書の締結により、計算科学の技術基盤強化と、その原子力研究開発への適用について、両法人の間の連携が一層強化され、我が国における学術と原子力利用の振興発展に大きく寄与することが期待されます。
計算科学研究は、コンピュータを活用して物理現象の予測や人工物設計の最適化、またデータの高速処理の技術等を開発する研究です。近年のコンピュータ性能の飛躍的な向上により、従来は不可能であった複雑な現象の予測なども可能になり、気象予測、遺伝情報解析、航空機設計など広い分野で応用が進みつつあります。このため、各国とも産業競争力向上のための戦略技術として計算科学研究の振興に多大の努力を払っています。
特に原子力分野では、放射性物質や核燃料を使用するため、実験に多大な費用を要することから、研究開発を効率化するために計算科学の活用がますます重要になっています。このため原子力機構は、原子力分野における最先端の計算科学技術の研究開発を進め、原子力の重要な課題へ積極的に活用してきました。一方東大は、幅広い学術分野において、計算科学を活用した基礎基盤研究を展開しています。したがって両者の研究開発能力と人材、シーズとニーズの融合・連携を一層強化することにより、計算科学研究を活用した産業競争力基盤の強化と原子力研究開発の効率化の相乗的進展が期待されます。
このため、平成20年4月8日に締結された「国立大学法人東京大学と独立行政法人日本原子力研究開発機構との間における連携協力の推進に係る協定書」第2条第2項に基づき、本覚書を締結することとしました。
本覚書をもとに、原子力機構の計算科学研究者が東大(柏キャンパス)に駐在し、東大における幅広い分野の研究者との日常的な知的交流の場を形成することにより、大学における新たな学術体系・技術基盤の構築と、原子力機構における原子力分野への難課題への速やかな適用展開とを両輪として進めます。これにより、世界の計算科学研究をリードする革新的なモデリングとシミュレーション技術の確立を目指し、さらに柏を拠点に全国的な連携の取り組みに努めることにより、我が国における学術と原子力利用の振興発展に大きく寄与することが期待されます。
以上