平成22年10月5日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
独立行政法人 日本原子力研究開発機構(理事長:鈴木篤之 以下、原子力機構という)は、フランス共和国原子力・代替エネルギー庁及び米国エネルギー省とナトリウム冷却高速炉の協力に関する覚書を策定し、10月4日に署名しました。
本覚書により、現在、国際的に開発競争が激化しているナトリウム冷却高速炉の研究開発の分野で、各機関の特徴を生かした協力関係を構築し、国際的に受容される高速炉の標準化及び開発コストの低減等のための検討を行います。
原子力機構は、高速増殖原型炉「もんじゅ」の後継となる実証炉の設計研究を進めています。フランス共和国原子力・代替エネルギー庁は、我が国と類似したタイムスケジュールでプロトタイプ高速炉「ASTRID (Advanced Sodium Technical Reactor for Industrial Demonstration)」の開発を進めています。他方、米国エネルギー省は、現在のところ高速炉開発計画を明示していませんが、高速炉に関する幅広い分野での知見を有しています。この三機関が協力し、高速炉開発に係るコストの低減等の検討を行い、国際的に信頼性の高い高速炉開発に取り組んでいきます。
これまで、日仏米の三機関は高速炉関係の情報交換を行いながら協力関係を構築してきました。本覚書の改正により、メーカーを交えた高速炉の共同設計、共同開発等に向けた検討を行います。
日仏米三機関は、本覚書締結により具体的な協力課題を選定し、協力内容と協力形態を協議します。
本覚書によって、新たに追加された項目として、先進高速炉燃料サイクルに関連する協力課題の抽出や、フランスの高速炉フェニックスの運転情報などを実証炉の設計に反映させるための計画を策定します。また、安全性研究や高速炉システム構成、先進材料開発、計装・検査・補修技術、熱流動、中性子工学などの情報の相互共有や、機器設計・製造、現有試験施設の共用による設備有効利用を進めるための検討を行います。さらに、実証炉の設計研究や実証炉用燃料の製造などを共同で進めるための検討を行います。
これらの検討により、実効的な協力が可能となれば、開発コストの大幅な削減が期待できるとともに、実証炉の安全性・信頼性を高めることができます。また、この協力を通して、国際的に受け入れられやすいナトリウム冷却高速炉の国際標準化を目指します。