独立行政法人日本原子力研究開発機構
平成22年9月30日
国立大学法人東京大学物性研究所
独立行政法人日本原子力研究開発機構

「東京大学物性研究所と日本原子力研究開発機構とのJRR-3における中性子科学研究協力に関する覚書」の締結について(お知らせ)

【概要】

東京大学物性研究所と日本原子力研究開発機構は、平成22年9月30日付けで「東京大学物性研究所と日本原子力研究開発機構とのJRR-3における中性子科学研究協力に関する覚書」を締結しました。

本覚書の締結により、研究用原子炉JRR-3における実験装置の有効利用や技術開発協力、外部利用の一層の促進が両機関の協力のもとに実施され、我が国の中性子科学研究を飛躍的に発展させることで学術及び科学技術の振興発展に大きく寄与することが期待されます。

【覚書締結の背景】

JRR-3 (昭和37年臨界、平成2年大規模改造)は、独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長:鈴木篤之。以下「原子力機構」という。)東海研究開発センター原子力科学研究所(茨城県東海村)に設置されている熱出力20MWの我が国最大級の研究用原子炉です。JRR-3の炉心から取り出された定常中性子ビームは、超伝導物質やタンパク質などを対象とした各種物質・生命科学研究、材料の非破壊検査・分析などの多彩な研究に用いられ、長年にわたり日本における中性子科学研究の中核を担ってきました。JRR-3には、原子力機構及び大学が保有する多数の中性子ビーム実験装置が設置されており、施設供用制度等を通して、外部ユーザーの利用に供され、基礎研究から産業利用にいたる幅広い分野で、年間600件以上の研究が行われています。

これまで、大学と原子力機構の間には、JRR-3の中性子科学研究に関して具体的な協力関係について明文化されたものはありませんでした。しかしながら、世界最高レベルのパルス中性子源である大強度陽子加速器J-PARCの本格稼動によって、中性子科学研究の新たな発展が期待されている今、JRR-3においても、大学と原子力機構のより密接な連携協力が必要となってきました。

このような状況を鑑み、JRR-3における全国大学共同利用の窓口となっている国立大学法人東京大学物性研究所(所長:家泰弘。以下、「東大物性研」という。)と原子力機構は、JRR-3における中性子科学研究に関する連携協力を推進するため、平成20年4月8日に締結された「国立大学法人東京大学と独立行政法人日本原子力研究開発機構との間における連携協力の推進に係る協定書」第2条第2項に基づき、本覚書を締結することとしました。

【今後期待できる成果】

本覚書をもとに、東大物性研と原子力機構は連携協力をより一層強化し、互いの保有する実験装置の相補活用による研究の促進や技術開発協力、外部利用の効率化や利便性向上、研究成果情報の共有化や合同シンポジウムの開催、研究者の交流・人材育成、共同プロジェクトの推進などを加速させるとともに、研究用原子炉の将来計画の検討などを全国的な取り組みとして進めていきます。

また、原子力機構では、文部科学省の「先端研究施設共用促進事業」の採択を受けて、本年4月よりJRR-3ユーザーズオフィスを設置するなど、産業利用を含めたJRR-3の施設供用をより強力に促進するための種々の活動を既に開始しています。

本覚書の締結により、研究用原子炉JRR-3を用いた中性子科学研究に関する連携協力が加速され、定常中性子源であるJRR-3とパルス中性子源であるJ-PARCのそれぞれの特長を活かした相補的活用によって我が国の中性子科学研究が飛躍的に発展し、学術及び科学技術の振興発展に大きく寄与することが期待されます。

【覚書の概要】

締結日:
平成22年9月30日
施行日:
平成22年10月1日
締結者:
国立大学法人東京大学物性研究所    所長 家 泰弘
独立行政法人日本原子力研究開発機構 産学連携推進部長 安濃田 良成
主な協力内容:
  1. @ 実験装置の有効利用及び技術開発
  2. A 施設供用、大学共同利用等の外部利用の推進
  3. B 研究成果の発信
  4. C 将来計画の検討
  5. D 研究者の交流及び人材育成の促進
  6. E 共同プロジェクトの推進

以上


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