用語説明

1)パルスラジオリシス
短いパルス幅の放射線を照射する手法。瞬間的に反応を開始できるため、後に続く反応を時間分解で追跡できるという特徴を持つ。
2)水の放射線分解
放射線によって水が分解する過程。放射線照射により水分子にエネルギーが付与されることが引き金となり、イオン化や励起を経て反応性に富む電子やラジカルを生成し、その後も様々な酸化還元反応を引き起こしてゆく。
3)パリ南大学
パリ南大学では長年にわたり放射線および光誘起反応の解明と応用を進めてきているが、高温実験はフランス側では困難であることから東京大学や日本原子力研究開発機構との共同研究で実施してきた。本研究もこの研究活動の一環として実施された。
4)超臨界水
水が、極めて高い温度圧力領域(374℃以上、218気圧以上)において取る状態。温度や圧力によって体積を変えるなど、液体と気体の両方の性質を併せ持つ。
5)水和電子
水の放射線分解で生成する化学種の一つ。主に水のイオン化から生成する。強い還元性を持つが、周囲の水分子とはあまり反応しないため、反応相手がいない限り消滅せず水中に留まる。光学的な特性として可視〜近赤外光を良く吸収する。
6)レーザフォトカソードRF電子銃
光電効果(金属面に光を当てると電子が発生する現象)を利用した電子ビーム源。従来広く用いられてきた熱電子銃よりも指向性の高い(広がりにくく一カ所にビームを集中させやすい)電子ビームが得られる。
7)OHラジカル
水和電子と共に水の放射線分解で生成する主な化学種の一つ。水和電子とは逆に、酸化性の極めて高い化学種である。また、これは放射線が関わらずとも普段から我々の生体内において絶えず作り出されている活性酸素の一つでもあることから、生物学的にも極めて重要な化学種である。
8)G値
単位吸収エネルギー(100エレクトロンボルト(1エレクトロンボルトは1.6x10-19ジュール))当たりの放射線分解生成物の生成個数。

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