用語解説

※1 大強度陽子加速器施設(J-PARC)
平成13年より、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と日本原子力研究開発機構が共同で茨城県東海村に建設した陽子加速器施設と利用施設群の総称。加速した陽子を原子核標的に衝突させることにより発生する中性子、ミュオン、中間子、ニュートリノなどの二次粒子を用いて、物質・生命科学、原子核・素粒子物理学などの最先端学術研究及び産業利用を行う予定。
※2 T2K実験(T2K長基線ニュートリノ振動実験)
J-PARCで作り出したニュートリノビームを、295km離れた岐阜県飛騨市神岡町にあるニュートリノ検出器「スーパーカミオカンデ」で検出する長基線ニュートリノ振動実験。J-PARCがある茨城県東海村から神岡町(Tokai to Kamioka)の頭文字を取って「T2K実験」と名付けられた。年間約1,600個のニュートリノを検出し、ニュートリノ振動現象の測定によってニュートリノが持つ未知の性質を解明し、物質をつかさどる究極の法則の手がかりを得ることを目標としている。世界をリードする感度をもつT2K実験は内外の多くの研究者を惹きつけ、日、米、英、イタリア、加、韓、スイス、スペイン、独、仏、ポーランド、ロシアの12ヶ国から500人を越える研究者が参加する国際共同実験となっている。日本からは大阪市立大学、京都大学、KEK、神戸大学、東京大学、東大宇宙線研究所、広島大学、宮城教育大学の総勢約80名の研究者と学生が実験の中心メンバーとして参加している。
※3 T2K実験のニュートリノ検出器
人工的に作り出される発生直後のニュートリノを検出する装置で、295km離れたスーパーカミオカンデで検出されるニュートリノとの強度やエネルギー分布の違いを調べる測定器。T2K実験のニュートリノ検出器には、J-PARC内に設置されたニュートリノ検出器と、神岡に設置されたスーパーカミオカンデがある。J-PARC内に設置された検出器を、スーパーカミオカンデと区別するために、前置ニュートリノ検出器と呼ぶ。
※4 スーパーカミオカンデ
岐阜県飛騨市の神岡鉱山跡の地下1,000mに建設された、東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設のニュートリノ検出装置である。円筒型タンク(直径39.3m高さ41.4m)内は、約50,000トンの純水で満たされ、水中でニュートリノによって散乱された荷電粒子が発するチェレンコフ光を光電子増倍管で検出する。
※5 K2K実験
KEKの陽子加速器で生成したニュートリノビームをスーパーカミオカンデに打ち込む世界初の長基線ニュートリノ振動実験で、1999年から2004年まで行われた。K2KはKEK to Kamiokaの略称。スーパーカミオカンデで観測された約100個のニュートリノ反応事象を解析することによって、ニュートリノ振動現象を加速器実験において初めて検証した。
※6 世界の他のニュートリノ振動実験
世界では、加速器を使ったニュートリノ振動実験として米国フェルミ研究所のMINOS実験とヨーロッパCERN研究所のOPERA実験が現在進行している。また、T2K実験のライバルとして、米国フェルミ研究所のNOvA実験が準備中である。他にも、原子炉で生成されるニュートリノを使った、フランスのDouble-Chooz実験、中国のDaya-Bay実験が新しいタイプのニュートリノ振動探索に向けて準備中である。

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