平成21年1月28日
J-PARCセンター

J-PARC最終段加速器での陽子ビーム加速とハドロン実験施設への入射に成功

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 岡ア俊雄)及び大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(機構長 鈴木厚人)の共同運営組織であるJ-PARCセンター(センター長 永宮正治)は、平成21年1月27日、平成13年から茨城県東海村で建設を進めてきた大強度陽子加速器施設J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)において、最終段加速器である50GeVシンクロトロンで30GeV(300億電子ボルト)まで陽子ビームを加速し、ビーム利用実験施設のひとつである原子核・素粒子実験施設(ハドロン実験施設)への入射に成功しました。今後、試運転を継続しながら徐々に出力を上げ、本格的な利用運転(平成21年2月を予定)を開始し、大強度陽子ビームによって発生する大量のK中間子やパイ中間子、反陽子、ミュオンなどの二次粒子ビームを用いた素粒子物理学並びに原子核物理学の研究を推進していく予定です。

●概要

J-PARCの原子核・素粒子実験施設(ハドロン実験施設)は、50GeVシンクロトロンで加速された陽子ビームを用いてK中間子やパイ中間子、反陽子、ミュオンなどの二次粒子ビームを生成し、それらを用いて素粒子物理学、原子核物理学の研究を行うための施設です。特に大強度の陽子ビームを用いて大量の二次粒子を生成するため、強固な放射線遮蔽の構築や、耐放射線性があり、また容易に交換が可能な電磁石の採用など、随所に技術的な工夫をした施設となっています。

J-PARCの最終段加速器である50GeVシンクロトロンでは、平成20年12月に最初の目標である30GeV(300億電子ボルト)まで陽子ビームを加速することに成功しました。今回、この30GeVまで加速された陽子ビームを加速器から入射し、約250m離れたハドロン実験施設内の二次粒子生成標的まで導くことに成功しました。標的を通過したビームはさらに50m下流に設置されたビームダンプに吸収されました。今後はさらにビームの取り出し軌道の調整などを続け、安定したビームの取り出しや導入の実現に向けた試験調整を行い、2月から主にK中間子ビームを用いた種々の研究を開始する予定です。

J-PARCは、21世紀の科学や技術の研究・発展に大きく貢献する、我が国が世界に誇る最先端の多目的研究施設です。J-PARCでは、中性子や中間子、ニュートリノなどの様々な二次粒子を利用した、物理学、化学、生物学などの基礎科学研究の進展や、ライフサイエンス、工学、情報・電子、医療など、広範な研究分野への応用も期待されています。

以上

参考部門・拠点:J-PARCセンター

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