補足説明

現在までの経過と原因等について

1.JRR-3及び安全計の概要

JRR-3は、熱出力5)20MW(20,000kW)の研究用原子炉で、中性子ビーム実験、原子力燃料・材料の照射試験、ラジオアイソトープの製造等に利用されています。炉心は、水深約10mの原子炉プールの底に設置されており、燃料要素32体から構成されています(添付図参照)。冷却材の温度は約40℃であります。

安全計は、出力が制限値を超えた場合に原子炉を安全に停止するための信号を出す計器です。A系とB系の2系統があり、どちらか一方でも作動することにより原子炉は停止します。

2.現在までの経過

JRR−3は、施設共用運転のため、平成20年12月1日11時に原子炉を起動し、熱出力18MW(18,000kW)で運転中でした。14時48分頃、中性子束の指示値を熱出力値に校正するため、安全計A系及びB系の線形増幅器のゲイン調整を行った。安全計B系のゲイン調整中に「安全系中性子束高」のスクラム信号が発報し、原子炉が自動停止しました。

現在、原子炉施設は停止しています。当該線形増幅器以外に異常のないことを確認しました。また、原子炉の冷却機能、閉じ込め機能に異常はなく、原子炉の安全性は確保されています。なお、周辺公衆及び従事者への放射性物質による影響はありません。

3.原因について

原因調査において、本事象はゲイン調整中に発生したことから、ゲインダイヤルをスクラム発生時と同じ位置で操作したところ、出力電圧に異常な変動が確認されました。他の設備等に異常がないことから、本事象はゲインダイヤルの不良が原因であると特定しました。

当該安全計B系線形増幅器を予備のものに交換し、その機能試験を行い、正常に機能していることを確認しました。


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