用語解説

1)水素貯蔵材料
水素を蓄えたり取り出したりすることのできる材料。材料の結晶の隙間に水素原子を取り込んだり、材料を構成する原子と水素から化合物を作ることで水素を取り込む。水素の取り込みやすさと取り出しやすさは、相反する条件となるので、バランスの良い材料の開発が必要である。
2)アルミニウム水素化物
化学式AlH3で表される金属水素化物。元となる金属が軽量なアルミニウムであること、およびアルミニウム1原子あたり3原子の水素を取り込むことが出来ることから、非常に軽量でコンパクトな水素貯蔵タンクを作ることの出来る材料として利用が期待されている。
3)アルミニウムと水素の直接反応
金属は適当な温度および圧力条件で水素と反応し金属水素化物を形成する。このような反応をここでは金属と水素の直接反応と呼ぶ。
4)大型放射光施設SPring-8
大型放射光施設(SPring-8; Super Photon ring 8 GeV からつけられた愛称)は、世界最高性能の放射光を利用することができる大型の実験施設である。従来のX線発生装置から得られる光に比べ、1億倍の明るさのX線を利用することができる。
5)不動態皮膜
大気中のアルミニウムの表面には不動態皮膜と呼ばれる非常に薄い酸化膜層が普遍的に存在している。この酸化膜層は化学的に非常に安定であるため、アルミニウムを錆や他の化学物質との反応から守っている。
6)その場観察
本研究で用いた装置による高圧実験では、試料のまわりが圧力を発生するための部材などで密閉されているため、試料の様子を直接目視によって観察することは出来ない。通常はある温度圧力下で処理した試料を常温常圧下に回収し分析を行う”回収実験”によって、高温高圧下でどのような反応が起きているのかを予想する。一方SPring-8が発生する非常に強いX線はこれらの圧力発生部材を透過することが出来る。この透過したX線を試料にあてて、粉末X線回折という手法を用いることで、高温高圧下の試料の様子を”その場”で観察することができる。

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