被控訴人「準備書面」の概要

本書面は、控訴人らが準備書面5で、被控訴人が事実関係に関する主張のうち「3項目・・・については反論を放棄し(ている)」と主張していることから、上記3項目は安全配慮義務違反の成否とは無関係な事柄であり、控訴人らの主張は具体的根拠を欠く単なる憶測にすぎないものであるものの、念のため説明をするものである。

1.「2時ビデオ」テープの本社内存在について

控訴人らは、「本社2時ビデオの存在が発覚した時期が重要であったことは、実は、被控訴人自ら認めている。」、「2時ビデオ本社持ち込みの事実及びそれを調査チームが把握し理事長に報告した時期が重要な事実であったことは動燃も、平成19年11月9日付準備書面で認めている。」と主張しているが、被控訴人はそのような主張などしていない。

被控訴人は、単に、第3回記者会見前の打合せでは打合せ時間の関係から2時ビデオの本社存在が判明した時期はいつかという問題にしぼって打合せが行われたという事実を述べたにすぎない。

なお、「2時ビデオ」は平成7年12月22日に記者会見で上映、公表されているが、この公表日の12月22日以前の段階で本社に存在していたことが調査チームに判明していたのであれば社会的にも問題となり得たであろうが、それ以後の日では特段の重要性を持たない。

2.第3回記者会見の開催経緯について

控訴人らは、「当初、理事長が詳細についても発表する予定だったが、動燃内部で検討する中で、詳細については、担当者である成生が発表する方がよいという結論になったものと思われる。」と主張しているが、理事長が詳細について報告することが予定されたということは一度もない。

なお、控訴人らは、第1回記者会見の開催経緯について「突然の会見が決まった背景は、・・・長官が記者会見で本社2時ビデオに言及するという情報が動燃にもたらされたためと考えられる。」、「第1回記者会見が・・・科技庁長官記者会見での発言を受けて急遽設定されたものであることは、事実関係から明白である」とも主張しているが、事実ではない。控訴人らが主張するような情報が第1回記者会見開始前に動燃関係者にもたらされ、同長官の記者会見での発言を受けて第1回記者会見の開催が急きょ設定されたことを示す客観的、具体的証拠はない。第1回記者会見の開催は、前日の1月11日夕方の会議で決められていたことである。

3.時系列資料について

控訴人らは、総務部次長が作成した「本社におけるビデオの件の事実関係」と題する時系列資料について、「原判決も・・・認めているとおり、・・・(総務部次長)が記入させた時系列の25日の記載を、公表資料から削除しようとした動きがある」、「マスコミに対し、25日に本社2時ビデオの存在が判明したことについて発表するか否かで、被控訴人内部で積極意見と消極意見が対立し、かなり大きな問題となっていたことが窺われる」と主張するが、原判決も控訴人ら主張のような「動き」があったとは述べていないし、そのようなことを示す客観的、具体的証拠はない。

なお、控訴人らは、「理事長は12月25日に(調査チームの団長)から報告を受けており、この点について、理事長会見で隠しているからこそ、(総務部次長)が記者会見において虚偽の事実を答弁せざるを得なかった」と主張しているが、そもそも、@記者は、第2回記者会見において、理事長が2時ビデオの本社存在を知った日について質問はしていないし、理事長もその点につき言及していない。また、A総務部次長が第2回記者会見での理事長の個別具体的な発言内容を知っていたということをうかがわせる証拠は何ら存在しないのであるから、控訴人らが主張するようなことにはならない。

以上


戻る