(用語解説)

1)大強度陽子加速器施設(J-PARC)
日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で茨城県東海村に建設中の陽子加速器施設と実験施設の総称で、光速近くまで加速した高エネルギー陽子をターゲットに衝突させることにより生み出される大強度量子ビーム(中性子、パイ中間子、K中間子、ミュオン、ニュートリノなど)を基礎研究や産業利用に供する施設。
2)パルス状の中性子
中性子とは、陽子とともに原子核を構成する粒子(核子)のひとつ。水素の原子核である陽子とほぼ同じ質量を持ち、電気的には中性である。また、微小磁石としての性質(磁気能率)も持つ。物質内への透過力が高く、水素などの軽い原子や物質の磁気的性質(磁性)に対して敏感である等の特徴がある。物質・生命科学実験施設では、1秒間に25回、40ミリ秒の間隔で間欠的に中性子を発生させ(パルス中性子)、これを物質の構造や物質中の原子やスピンの動き(ダイナミクス)の研究などに用いる。
3)ミュオン
ミュー粒子とも呼ばれる。電子と同じレプトンの一種で電荷とともに微小磁石としての性質(磁気能率)も持つが、質量は電子のおよそ200倍である。磁気能率を持つことや軽い陽子として振舞うことを利用し、物質の磁気的な性質や拡散現象の研究などに利用される。物質・生命科学実験施設では、1秒間に25回、40ミリ秒の間隔で間欠的にミュオン(パルスミュオン)を発生させる。
4)高温超伝導物質
超伝導現象とは、特定の物質が非常に低い温度まで冷やされた時にある特定の温度(「転移温度」という)以下で電気抵抗がゼロになり、電気が非常に流れやすくなる現象のことをいう。高温超伝導物質とは、液体窒素の沸点(零下196℃)より高い温度で超伝導性をもつ物質であり、銅の酸化物であるY-Ba-Cu-O系が代表的な物質である。なお、この高温超伝導の機構はまだ解明されておらず、全世界で理論と実験の両面で非常に関心が高い研究テーマである。

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