平成19年10月31日
J-PARCセンター
 
J-PARC 3GeVシンクロトロンで所期性能のエネルギー3GeVを達成
 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 岡撫r雄)及び大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(機構長 鈴木厚人)の共同運営組織であるJ-PARCセンター(センター長 永宮正治)は、両機構が平成13年から茨城県東海村で建設を進めてきた大強度陽子加速器施設J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)の第2段加速器である3GeVシンクロトロン(以下、「3GeV-RCS」という)において、平成19年10月31日に、所期性能であるエネルギー3GeVのビーム加速を達成しました。

 J-PARCの3GeV-RCS(3GeV-Rapid-Cycling Synchrotron)は、リニアックから入射された181MeV(1億8千100万電子ボルト、光速の約50%のスピード)の陽子ビームを、2/100秒間で3 GeV (30億電子ボルト、光速の約97%のスピード)まで加速する世界最高性能の陽子シンクロトロンです。注) 先日、ビーム周回に成功したところですが、今般、想定されたスケジュールより早くエネルギー3GeVを達成しました。

 今後はさらにビーム試験を重ね、徐々に陽子ビーム強度を増加させ、平成20年春頃に3GeVシンクロトロンに続く「物質・生命科学実験施設」や第3段加速器の「50GeV シンクロトロン」にビームを入射するとともに、平成20年度後半から21年度にかけて、中性子や中間子、ニュートリノなどを用いた種々の最先端科学分野での研究を順次開始する予定です。
以 上

    注) この加速器は、25Hzで陽子ビームを出力する周長約350mの円形加速器(シンクロトロン)で、従来の約2倍の加速性能を持ちます。このような高加速性能を実現させるため、新磁性材料を活用した従来比約2倍の加速電界を持つ高周波加速システムを採用しました。また、一般に加速器ではビームの通路である真空ダクトの材料として、ステンレスやアルミニウムなどの金属が使用されますが、3GeV-RCSのような速い繰り返し(25Hz)の加速器で金属製の真空ダクトを使用すると、変動磁場が誘起する渦電流が原因で発熱や磁場の乱れが発生し、ビームを安定に加速できない可能性があります。このような不安定性を抑制するために、アルミナセラミックスを材料とした新方式の真空ダクトを採用しました。このように、随所に世界最先端の機器を使用しています。
 

参考部門・拠点:J−PARCセンター


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