平成19年10月29日
J-PARCセンター
 
J-PARC 3GeVシンクロトロンへのビーム入射及び周回に成功
 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 岡撫r雄)及び大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(機構長 鈴木厚人)の共同運営組織であるJ-PARCセンター(センター長 永宮正治)は、両機構が平成13年から茨城県東海村で建設を進めてきた大強度陽子加速器施設J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)において、初段加速器であるリニアックから第2段加速器である3 GeVシンクロトロンへのビーム入射及び3GeVシンクロトロンでのビーム周回に平成19年10月26日に成功しました。

 J-PARCの3 GeVシンクロトロンは、リニアックから入射された181MeV(1億8千100万電子ボルト、光速の約50%のスピード)の陽子ビームを、2/100秒間で3 GeV(30億電子ボルト、光速の約97%のスピード)まで加速する陽子シンクロトロンであり、新磁性材料を活用して開発された従来比約2倍の加速電界を持つ高周波加速システムなど、随所に世界最先端の機器を使用した世界最高性能の装置です。

 今後はさらにビーム軌道の調整を続け、所期性能(3GeV)まで陽子ビームを加速するとともに、徐々にビーム電流を上げていく予定です。平成20年春頃に3GeVシンクロトロンに続く「物質・生命科学実験施設」や第3段加速器の「50GeV シンクロトロン」にビームを入射するとともに、平成20年度後半から21年度にかけて、中性子や中間子、ニュートリノなどを用いた種々の最先端科学分野での研究を順次開始する予定です。

 J-PARCは、21世紀の科学や技術の研究・発展に大きく貢献する、我が国が世界に誇る最先端の多目的研究施設であり、中性子を利用した研究施設としては、米国オークリッジ国立研究所のSNS(Spallation Neutron Source) などと並ぶ世界最高性能の研究施設となります。またK中間子施設としては世界のセンターとなり、さらにニュートリノ研究施設としても世界最先端の性能を持つものです。大強度陽子ビームから発生する中性子や中間子、ニュートリノなどの様々な二次粒子を利用して、原子や原子核、素粒子の極微の世界を探求する研究は、物理学、化学、生物学などの基礎科学の発展に貢献するとともに、ライフサイエンス、工学、情報・電子、医療など、広範な研究分野への利用が期待されています。


 【補足説明
以 上

参考部門・拠点:J−PARCセンター


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