用語説明
 
1)科学技術振興調整費
 総合科学技術会議の方針に沿って文部科学省が運用を行う政策誘導型の競争的資金。


2)「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」
 長期的な観点からイノベーションの創出のために特に重要と考えられる先端的な融合領域において、産学官の協働により、次世代を担う研究者・技術者の育成を図りつつ、将来的な実用化を見据えた基礎的段階からの研究開発を行う拠点の形成を目指す。
 本プログラムで対象とする先端的な融合領域とは、従来の既存の分野、例えば、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、ITといった技術領域では対応できない研究分野であって、社会的、技術的課題の解決に向けて複数分野の研究者・技術者が一体となって取り組むべき領域のうち10年から15年程度先を見越した際に、今後我が国が世界を先導できる可能性が見込まれるとともに、3年から5年後までに核となる技術シーズが確立され、実施期間終了までには産業化・実用化につながる成果となって、企業による市場創生のための取組が本格化することが見込める領域を指す。文部科学省所管のプログラムで、19年度には9件が採択された。プログラム開始から3年後に審査があり9件が3分の1に絞られる予定であり、更に7年目の評価を通過すれば最大10年間継続して実施できるプログラムである。


3)光医療産業バレー拠点創出
 関西光科学研究所が培ってきたレーザー駆動粒子線加速技術を医療に応用し、レーザー駆動の革新的小型化の粒子線がん治療器を産官学連携で開発するとともに、最先端のレーザー技術と最先端の医療技術の融合により、革新的な医療に関する診断機器、治療機器などの研究開発を推進する。そして、それらを通じて、関連研究者、技術者、企業家などの人材を育成し、その成果による光医療産業の創出を目的としている。


4)レーザー駆動の革新的小型化の粒子線がん治療器
 強力なパルスレーザーを物質に照射する際に発生するプラズマの性質を応用して電子を加速し、その電子とターゲット物質の相互作用で発生する粒子線(陽子線)をがん治療に利用しようとするもの。
 レーザー駆動の電子加速は、従来の高周波による電子加速とは原理的に異なり、レーザーで誘起され瞬間的・局所的に発生する強力な光の場(光子場)を加速源とするため、高周波による加速器に較べて100倍以上の強力な加速電場で電子を加速することから、加速装置が小型化できるとともに、高品質の電子ビームが得られる。この電子ビームを、薄膜金属ターゲットに照射することにより発生する粒子線(陽子線)を安定的に取り出しがん患者に照射することにより体内のがん細胞を死滅させることが出来る。


5)研究開発部門
 原子力機構は、効率的に研究開発を進める体制の枠組みとして、「研究開発拠点」と「研究開発部門」のマトリックス体制を採用している。今回発足した「光医療研究連携センター」は、例えば「量子ビーム応用研究部門」などの「研究開発部門」と同格の組織である。

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