用語説明
 
1)ポリ乳酸
 とうもろこし、イモ類などの植物から取り出したデンプンを発酵することによって得られる乳酸をモノマーとして重合させて合成するプラスチックです。植物由来の原料から製造されるので、焼却してもダイオキシン等の有害ガスは発生せず、自然界でも微生物で分解される環境に優しい材料です。剛性、引張強度や透明性が高いなどの特長があり、石油合成系プラスチックの代替材料として利用することで石油資源使用量の節約にもつながるカーボンニュートラルな材料で、温暖化ガスである二酸化炭素の排出制御に役立ちます。


2)放射線橋かけ(架橋)
 材料にガンマ線、電子線等の放射線を照射すると、瞬時に電離や励起が起こり、特に高分子材料の場合には分子鎖の中に反応性の高い部分(ラジカル)が生じます。このラジカル同士が結合して分子鎖が繋がる反応を、橋かけ(架橋)といい、材料の硬さや弾力等の物性が向上する等の、性質を変える働きをします。


3)可塑剤
 可塑剤とは、あるプラスチック材料に柔軟性を与えたり、加工をしやすくするために添加する物質のことをいいます。可塑剤は主に、合成高分子である塩化ビニルを中心としたプラスチックを軟らかくするために用いられ、そのほとんどが酸とアルコールから合成される有機化合物(一般にエステルといわれるもの)です。


4)カーボンニュートラル
 地球温暖化防止、循環型社会の構築に貢献する新たな資源としてバイオマスが注目されています。バイオマスも燃焼によって化石燃料と同様に二酸化炭素を発生します。このうち、植物系のバイオマスについては、もともと成長過程で植物の光合成によって大気中から取り込まれた炭素に由来するものであり、燃焼しても大気中の炭素量は差し引き変化しないといえます。このように、大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えない性質のことをカーボンニュートラルといいます。


5)軟質塩化ビニル
 一般的な合成プラスチックの一つであるポリ塩化ビニル(塩化ビニル樹脂)に可塑剤を加えて柔らかくしたプラスチックです。塩化ビニル樹脂は、そのままでは硬くて脆く、紫外線などに当ると劣化しやすいため、柔らかくするための可塑剤と劣化を防ぐ安定剤を加えて利用されています。応用例としては、上下水道パイプ、電線被覆(絶縁材)、建築資材(壁装材、建具、雨樋、窓枠、クッション材、断熱・防音材など)、自動車・家電のパーツ、農工業設備資材(マルチフィルム、ロープ、防虫網、農業園芸ハウスなど)、ラップフィルム、合成皮革、文房具(プラスチック字消しなど)が挙げられ、広範な分野で使われています。


6)生分解性プラスチック
 使用状態では従来のプラスチックと同等の機能を有し、使用後廃棄された時は土中または海水中などの微生物により分解され、最終的に水と二酸化炭素になるプラスチックをいいます 。
以 上

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