補足資料2
 


 ターゲット容器全体軸長さは約2mであり、ステンレス鋼から作られる。構造安全性の観点から、容器は三重壁構造となっており、万が一、水銀から陽子線が励起する圧力波を直接受ける第一壁が破損しても水銀は外部へ流出することなく十分安全性は確保されるよう配慮している。




 世界的に高出力の中性子源の開発が行われているが、中性子を発生させるターゲット材には、陽子ビームの入射により発生する熱除去に有利であることから液体水銀の使用が予定されている。図は、パルス陽子ビームがターゲット容器にターゲット窓部を通過して水銀内部に入射する際に生じる瞬時発熱と圧力波の発生機構を模式的に示している。すなわち、大強度のパルス陽子ビームが水銀ターゲット中に入射するときに、液体水銀内部では急激な発熱に伴う圧力波が発生する。その圧力波は容器に向かって水銀中を音速で伝播し、衝撃的な荷重を容器壁面に負荷する。この時、容器変形に伴い引張圧力が容器壁と水銀界面に沿って生じ、水銀気泡が発生する。これにより、微小ピット(穴)群からなる損傷を容器壁面に付加する。容器は、さらに繰り返し衝撃圧を受けることから、損傷の拡大と疲労により破損する懸念があり、この問題を解決する必要があった。

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