【補足説明資料】

高温ガス炉燃料の説明
 被覆燃料粒子は高温ガス炉特有の燃料形式で、微小な球で燃料核(ウランの酸化物等)を芯としてその外側を耐熱性に優れた炭化ケイ素等のセラミックスで四重に包んだものです。
 HTTRの燃料では、二酸化ウランの燃料核は内側から順に第1層(低密度熱分解炭素)、第2層(高密度熱分解炭素)、第3層(炭化ケイ素)及び第4層(高密度熱分解炭素)で四重に被覆され、この被覆層で、ウランの核分裂により発生する核分裂生成物(FP)を閉じ込める役割を果たします。被覆燃料粒子の製造において、燃料核に被覆を施す工程の条件を最適化し、更に4つの層を連続的に被覆する手法を開発することにより品質を向上させることができました。
 この被覆燃料粒子(約1万3千個)を黒鉛粉末と均一に混合し焼き固めて燃料コンパクトを作ります。この工程でも圧力等の焼き固める条件を最適化し、品質を向上させることができました。この燃料コンパクトを黒鉛スリーブに入れて燃料棒とし、その燃料棒を六角状の黒鉛ブロックに挿入して燃料体とします。
 HTTRには、150体の燃料体を装荷しています。(図1)





 HTTR原子炉の運転中に1次冷却材(ヘリウムガス)中の放射能濃度を測定することで、被覆層のFP閉じ込め性能を評価できます。代表的な核種として88Kr(クリプトン88)があり、その放出率(R/Bとして示す。FPの生成速度(B)に対する放出速度(R)の比として定義)が小さい程、被覆層の閉じ込め能力が優れていることになります。
 この度の定格運転モード(原子炉出口冷却材温度850℃)での長期間運転において、88Krの放出率は、世界の代表的な高温ガス炉である米国FSV炉(定格熱出力842MW、原子炉出口冷却材温度約780℃)、独国AVR炉(定格熱出力46MW、炉心出口冷却材温度約950℃)の燃料の実績値に比べ、1〜3桁低い値(1/10〜1/1000)を示しております。(図2)
 これらの結果より、HTTR燃料が世界的に最高品質であることが示されたと言えます。FSVは原子炉出口温度(約780℃)がHTTRより低かったにもかかわらず、放出率はHTTRの結果より2桁以上高くなっています。また、AVRでは圧力容器内で約950℃の温度を達成しておりますが、HTTRと同程度の燃料温度であるが、放出率はHTTRの結果より1桁以上高くなっています。これらの差は燃料のFP閉じ込め性能の差によるものです。












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