平成19年2月10日
独立行政法人
日本原子力研究開発機構
 
原子力発電所コンクリート性状に関する研究
ふげん発電所における物性調査結果にかかる今後の対応について
(お知らせ)

 
 原子力機構では、原子力安全基盤機構(JNES)からの委託を受け、原子力発電所の高経年化対策に関連した調査研究活動を進めております。このうち、「原子力発電所コンクリート性状に関する研究」は、廃止措置準備を進めているふげん発電所の建屋構造壁のコンクリートを用いた経年変化に関するデータを取得するとともに、コンクリート健全性評価のための検査・モニタリング技術の適用性を確認し、その成果を国の高経年化審査へ反映させることを目的としています。
 平成18年度の研究として、ふげん発電所において、今後予定している管理区域内からの試料採取・測定の事前準備として、保全区域(原子炉補助建屋)より試料を採取し、圧縮強度等の物性値の調査を行いました。その結果、同じ建物内で採取したコアの圧縮強度のばらつきが大きいことから、引き続きデータの妥当性、信頼性についての確認を、新たに、再計測を含めて早急に実施します。
 これまでの調査状況等については、以下のとおりです。

 
1. 調査状況
 原子炉補助建屋保全区域の複数箇所から試料を採取して試験を行った結果は、以下の通りです。

 ・ 試料として採取したコアの圧縮強度は、これまでの経験から通常考えられるばらつきの幅を大きく超えています。また、表層部と中心部では中心部が強いという一般的傾向が認められますが、その差が大きく、十分な検討が必要です。
 
 ・ 試料採取前の反発度法*(非破壊検査)によるコンクリート強度の測定結果は、研究用として整理したものであり、最終的な値ではありません。また、圧縮強度の測定データのばらつきが大きいため、必要な補正をしておらず、データの信頼性は乏しいと考えます。

      *: 反発度法とは、コンクリートの表面をテストハンマーによって打撃し、この時のハンマーの跳ね返り高さを反発度(R)として記録し、その値から換算式を用いてコンクリートの圧縮強度を求める手法です。反発度法の測定データは、採取したコアの圧縮強度データ等による適切な補正により、最終的な値とするものです。


2. 今後の対応
 同じ建物内で採取したコアの圧縮強度のばらつきが大きいことから、引き続きデータの妥当性、信頼性についての確認を、新たに、再計測を含めて早急に実施します。その際、試料採取時に影響する要素、採取場所の代表性、採取した試料の化学分析、圧縮強度の試験方法等の確認も併せて実施します。
 
以 上

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