【解 説】
 
1.「資源リサイクル時代に避けて通れない不純物含有量評価などの材料の品質管理」
 現在、リサイクルを促進する法令が整備され、さらにアルミ缶とスチール缶などのゴミ分別が市民レベルで推進されている。分別と併せて、リサイクル品に含有する有機物(油など)などの不純物含有量を事前に評価することによって精製の必要程度がわかり、低コストで再生品の高品質化が可能となる。


2.「トレーサビリティー(履歴管理)に基づいた製品の品質向上」
 トレーサビリティーとは、履歴管理、追跡可能性と言い換えることがある。製造・加工作業や流通などにおける物の状態変化の過程を明らかにすること、あるいはその仕組みのことをいう。トレーサビリティーを確保しておくことにより、物の状態変化(素性)を定量的に管理・把握することが可能となり、製品の品質向上に寄与する。


3.「ガスクロマトグラフィーが主流のガス分析技術に新たな展開を切り開く」
 ガスクロマトグラフィーとは、ガスを吸着・放出する充填剤を細管に詰め、成分を測定したいガスを通過させると充填剤に対する各成分ガスの吸着性・放出性が違うために各成分ガスの通過速度が異なってくるという特徴を利用して試料の成分を分析する方法をいう。
 これまでのガス分析は、この方法が主流であったが、真空熱天秤と「グラビマス」との組み合わせによるガス成分の分析では、真空熱天秤で放出ガスの全重量を測定し、「グラビマス」で測定したガス種とその構成割合からガス種毎の重量を算出するというガスクロマトグラフィーとはまったく異なる画期的な測定法を採用しており(別紙参照)、トレーサビリティーを確保するという点で優れている。


4.「1ヶ月以上もの長期零点安定性を確保」
 天秤のバランスがとれた状態が、地面の震動や試料の熱などの外的な要因で変化せず安定していることをいう。この安定性の確保時間は、天秤の信頼性の一つの指標となる。
 零点安定性は、天秤の設置場所の床振動等に依存するが、市販の天秤では通常100μgレベルの安定性を継続維持できる時間は数10時間程度である。


5.「高分解能測定を実現」
 分解能とは装置で測定できる精度がどの程度であるかを示しており、天秤測定では、分解能=感量/秤量で定義されている。その量が小さいほど詳細な情報が得られることを意味する。
 この天秤は真空中で、秤量60gに対して、感量100μgであり、分解能としては60万分の1となる。真空中でこのような性能を有する天秤は他にない。


6.「10−4Pa以下の高真空状態」
 Paは圧力の単位で、1気圧=1013.25hPa(ヘクトパスカル)。10−4Paとは約10億分の1気圧に対応する。この真空状態は、宇宙ステーションの存在している宇宙空間と同程度である。

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