補足説明


1.遠隔実験システムの構成
 システムの構成を図1に示す。JT-60実験条件作成、結果表示、設備状態監視用端末とほぼ同等の情報をウェブ上で提供する遠隔実験管理システム(遠隔実験サーバーに搭載)と、外部からのアクセスに対してネットワーク・セキュリティを保つITBLセキュリティシステムとから構成される。
 本システムは、セキュリティーを確保しつつ、遠隔地の大学等の研究者がパソコン等のウェブブラウザを使ってJT-60の実験条件(通常、放電条件と称している)の設定や運転状況の把握ができる環境を提供する。本システムと、TV会議システム、遠隔からの実験データ表示・解析ツールを併用することにより、外部の研究者は所内の研究者とほぼ同等の環境で実験を実施できる。実験運転の安全を確保する観点から、外部からJT-60装置へ直接的な運転操作はできないシステム構成となっている。
 ITBLのセキュリティシステムにおいては、利用者を電子化された身分証明書で認証し、かつ遠隔実験サーバーと利用者のパソコンとの間の通信データを暗号化し盗聴を防止することにより、不特定の利用者による実験条件の改ざんやJT-60制御システムへの不正侵入を防止する。
 遠隔実験管理システムでは、JT-60制御システム外のネットワークからのアクセスを遠隔実験サーバーまでに限定することにより、JT-60制御システムへの外部からの侵入を防止しつつ、実験条件等のデータの送受信を可能とした。実験条件作成、結果表示、設備状態監視の各機能をウェブ専用言語で新たに製作することにより、ITBLのセキュリティシステムを経由した状態でも十分な応答速度を実現した。
 外部の研究者が作成・保存した実験条件は、所内の研究者が作成・保存した実験条件と同様に、JT-60運転体制の管理下に置かれ、実験条件の適合性検査を経て実行される。



2.京都大学からの遠隔実験の実施
 実施日:2006年6月6日(火)
 接続先:京都大学エネルギー理工学研究所附属エネルギー複合機構研究センター(ヘリオトロンJ実験棟)
 京都大学共同研究者:長崎百伸助教授、小林進二助手。
 通信経路:
 (京都大学宇治キャンパス)→(インターネット回線)→(ITBL東海サイトフロントサーバー)→(ITBL東海サイト中継サーバー)→(那珂研遠隔実験サーバー)

 プラズマ圧力によって生じる磁場の乱れの発生条件(プラズマ加熱パワー依存性)を調べる実験を実施した(京都大学と原子力機構との共同研究の一部)。
 TV会議システムを利用して、JT-60制御室実験チームと遠隔地との間で十分に議論しつつ、実験を進めた。
 一つの放電が終了する度に、京都大学共同研究者はネットワークを通じて実験データを取得して実験結果を把握し、次の実験条件を検討した。


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