用語解説
 
1「X線その場観察」
 高温高圧発生を行うためには、圧力を伝える物質や、加熱するためのヒーターで試料を取り囲む必要がある。そのため、通常、実験中の試料の状態を覗くことはできない。大型放射光施設SPring-8の強力な放射光のX線は、これらの試料周りの物質を簡単に透過するため、高温高圧下にある試料の状態をリアルタイムで観察することができる。


2「バルク金属ガラス」
 融液を冷却する際、結晶化するよりも早く温度を下げると、液体の状態をそのままとじ込めたような固体となり、原子が無秩序に配列したガラスができる。Mg, La, Zr, Fe, Pdを基にした特定の合金は、比較的ゆっくり(0.001〜1000℃/秒)冷却しても、ガラス状態の金属が得られ、これをバルク金属ガラスという。バルク金属ガラスは、結晶とは異なり原子配列が規則的でないために、普通の金属に比べ、強くてしなやか、非常に錆びにくい、磁気特性に優れるなどの大きな特徴がある。その特性を活かして、微小なモーターの歯車や、高感度圧力センサー、高感度コリオリ流量計、ゴルフクラブなどの材料として用いられている。


3「X線回折法」
 試料にX線を入射すると、試料中の原子配列に応じたX線のパターンが得られる。得られたパターンを逆に解析することにより、試料中の原子配列を知ることができる。これをX線回折法という。この方法を用いることによって、高温高圧下で得られるX線回折パターンを基に、高圧下における物質の原子配列(構造)の変化を調べることができる。今回の実験では、X線に対して透明な高圧発生装置と二次元検出器を用いることによって、広い領域に散乱されたX線パターンを得られるため、これまでの手法に比べて、より信頼性の高い結果を得ることできる。

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