用語解説


極短光パルスレーザー
 光パルスレーザーでは一定の繰り返し周期で光源から光が放射される。一サイクルにおいて放射される光は、その持続時間に応じた光の集団(光パルス)となって伝播する。一パルスの持続時間はナノ秒(10-9秒)からピコ秒(10-12秒)程度のレーザーが一般的であったが、近年、フェムト秒(10-15秒)領域の極短光パルスレーザーの製造技術が発展している。


プラズマ
 気体にエネルギーを与え高温に加熱すると、その分子もしくは原子の運動エネルギーが増大する。このエネルギーの増大によって、原子内の電子がはぎ取られ、自由電子と正イオンが乱雑に分布する電離状態になる。この電離した気体をプラズマといい、電子や正イオンの電気的相互作用の効果が顕著となるため、通常の気体とは異なった振る舞いを示す。


フェムト秒
 ナノ秒(=10億分の1秒)、ピコ秒(=1兆分の1秒)よりさらに1つ下の単位。1000兆分の1(=10-15)秒。


ピーク出力
 レーザーの出力には大きく分けて平均出力とピーク出力の2つがある。ピーク出力はパルスレーザー装置においてエネルギーをパルス幅で割ったものである。


ピーク強度
 ピーク出力をビーム断面積で割ったもの。レーザー光は一般的に集束性が高いため、曲面ミラーやレンズ等の集光光学系を用いて集光することで、水素原子が束縛する電子の場の100倍以上の強力な場を局所的に発生することが出来る。


超高速放射線化学
 化学反応における物質の化学結合の切断や生成は、一般にフェムト秒からピコ秒の時間スケールで起こる。したがって、フェムト秒の高エネルギー電子ビームによって物質の励起状態を選択すれば、より高い精度で放射線化学反応過程が調べられるようになる。このような計測によって、新材料の創成やプロセスの開発に役立てることが可能になる。


第四の相
 物質には、固相、液相、気相があるが、高温の極限ではプラズマとなる。このプラズマを第四の相と呼んでいる。


自由電子
 原子核に捕捉されない自由に動き回る電子のこと。超高強度レーザーのもたらす高エネルギー粒子発生において大きな役割を果たす。


電子ビームの品質
 電子ビームの利用を考える上で、電子ビームの集束性は光と同様に輝度に結びつくので重要である。エミッタンスとはこのビームの集束性の指標であり、ビーム品質の度合いを示す。この値が低いほど良好である。

もどる