・ | 濃硫酸の流路壁は、耐食性を有し、かつ、高い熱伝導率を有すること。 |
・ | 大型化が可能な構造であること。 |
・ | 十分な構造強度を有すること。 |
・ | ヘリウムガスの気密性を確保すること。 |
・ | 濃硫酸に対して優れた耐食性を有し、かつ、高い熱伝導率を有する材料として、炭化ケイ素(SiC)セラミックスを選定した。 |
・ | セラミックスを製造できる大きさに限界があること、及び、十分な構造強度を持たせることに配慮して、多孔円筒型のSiCブロックを積み重ねる構造とした。 |
・ | 気密保持のためにシール材を用い、ブロック同士を金属製のタイロッドで軸方向に締付けてシール部の適正な面圧を確保するとともに、熱膨張率の大きく異なるセラミックスと金属間の運転時の熱膨張差を皿バネのたわみで吸収するような荷重保持機構を設けた。(図3参照) |
・ | 多孔円筒型SiCブロック: 直径14.8mmの貫通孔を70本(濃硫酸流路32本、ヘリウム流路38本)有するブロック(高さ0.75mx直径0.25m)を2個積み重ねたもの。 |
・ | ヘリウムガス:40気圧、710℃(上部入口)/535℃(下部出口) |
・ | 硫酸 :濃度90wt%、20気圧、460℃(下部入口)/435℃(上部出口) |
・ | 熱交換量 :82.7kW |
(1) | 試作 上記仕様の大型の多孔円筒型SiCブロックの試作に成功し、その製作性を確認した(図4参照)。 次いで、硫酸に耐える金を素材としたシールガスケットを用いてSiCブロックを積み重ね、荷重保持機構にて固定した内部構造体を試作した(図5参照)。 |
(2) | 気密・強度試験 硫酸分解器の気密性及び構造健全性を確認するため、試作した内部構造体を用いて、室温における耐圧試験及びヘリウムリーク試験を行い、問題のないことを確認した。また、地震荷重を模擬した水平荷重試験を行い、高圧ガス設備等耐震設計基準で設定されている「耐震設計構造物が保有すべき耐震性能」(通商産業省告示第五百十五号 第一条の三)に相当する荷重(震度6弱程度)を負荷した状況においても、シール性能が維持されていることを確認した。 |