【用語説明】

炉心溶融事故
 原子炉の炉心の冷却が不十分な状態が続き、あるいは炉心の異常な出力上昇により、炉心温度が上昇し、燃料溶融に至る事故。例えば「もんじゅ」においては、外部電源が喪失し3台ある炉心冷却ポンプは全て停止した場合において、制御棒が作動せず炉停止に失敗、炉心燃料が溶融するような事故を想定して安全評価が行われた。そして、このような技術的に起こるとは考えられない事象に対しても炉心は冷却され、防止対策との関連において放射性物質の放散は適切に抑制されることが確認されている。

カザフスタン共和国国立原子力センター
 カザフスタン共和国の国立原子力センター(NNC: National Nuclear Center)は、政府直轄の国立研究所であり、旧ソ連時代の核実験場のあったセミパラチンスクに設置されている。これまでに、原子力や宇宙開発に係わる軍用及び民生用の主に実験に係わる研究を行ってきた。これらの研究を通じて、試験炉を用いた実験研究や高温材料及び試験技術を蓄積している。なお、カザフスタン共和国の独立後は、非核宣言を行い、IAEAや核不拡散条約にも加盟して、原子力については平和利用に限定した研究、開発、利用を行うとともに、所有する試験施設と技術をもとに海外との共同研究を行っている。

IGR
 Impulse Graphite Reactor(黒鉛減速型パルス型試験炉)の略。カザフスタン共和国国立原子力センターが保有する研究用の原子炉。短時間に大きな出力パルスを与えて、試験燃料を溶融させることのできる黒鉛減速のパルス型試験炉であり、試験燃料は原子炉の中央にある実験孔に設置される。これまでにも軽水炉燃料及び高速炉燃料の破損限界や燃料挙動を観測するための研究に広く活用されてきている。IGRを用いた国際協力の実績として、フランスとの共同研究による軽水炉燃料の安全性試験がある。国内外に存在する炉内安全性実験用の試験炉の内で、今回の試験研究プロジェクトに必要な能力(8kg程度の試験燃料を短時間に溶融できるような高い加熱能力)を有する唯一の試験炉である。

FBRサイクル実用化戦略調査研究:
 FBRサイクルの実用化に向けた研究開発戦略を立案することを目的とした調査研究。原子力機構と電気事業者等が協力して1999年より実施中である。

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