独立行政法人日本原子力研究開発機構

安岡弘志 安岡 弘志(やすおか ひろし)

現職
独立行政法人日本原子力開発機構
先端基礎研究センター 嘱託、
米国ロスアラモス国立研究所
Long Term Visiting Staff Member

核磁気共鳴法によるアクチノイド化合物の微視的物性の研究

業績

最近の物質科学の研究動向は,より未知の物質を開発しその物性を明らかにしつつ新機能の発現を探索するものである。その中で、アクチノイド元素やその化合物は未踏の領域として取り残されており、それらの電子物性の解明が急務とされている。

本研究は、微視的な測定技術である核磁気共鳴(NMR)法を用いて、種々のアクチノイド化合物の磁性や超伝導の特性を明らかにしたものである。特に、ウラン(U)やプルトニウム(Pu)といった、アクチノイド原子核のNMR観測に世界に先駆け成功し、物性研究に新たな方向性を与えたことに大きな特徴を持つ。

本研究により、ウランやプルトニウム化合物の微視的電子物性をそれらの原子位置での情報として、直接研究できるようになりそれらの物性解明が加速されてきている。

本成果は、アクチノイド化合物の磁性や超伝導解明といった基礎科学の分野のみならず、現在、社会的に問題視されている原子力燃料や廃棄物に関連して、PuO2やMOX燃料等の材料特性の解明にも適応でき、ひいては新型核燃料やPu廃棄物の長期保存法に新しい方向を見出すこと等に寄与することが期待される。

主要論文:
1)「二酸化ウランにおける235U核の NMRに関する研究」日本物理学会英文誌, Vol. 67, p65-66, 1998年1月発表
2)「239Pu核のNMRに関する研究」米国 サイエンス誌, Vol. 336, p901-905, 2012年5月発表

戻る